スープのおかげで生きている。
先週、スープストックトーキョーで新作の山栗のポタージュを頼んだ。
ひとさじ口に含む。ミルキーだけどしつこくなくて、栗の香ばしい味がして、そこにパラリとかかる黒胡椒がアクセントに。
「おいしい」そう心で呟きながら、もくもくと食べ始める。
ねえ、そう思わない? すぐそばにいるお客さん、少し猫背でスマホを見ながら「オマール海老のビスク」を食べている、そこのあなた。
スープストックトーキョーは、ひとりの女性が「ふーふー」しながらスープを食べるイメージから始まったそうですよ。
ありがたいよね。ここは確かに束の間の居場所になっている。わたしにどこか似ているあなたも、そう思うかな。
周りにたくさんいる「わたしのようなあなた」を眺めながら、またひとさじ。そういえば太宰治の「斜陽」はお母さまがスウプをすくうところから始まるんです。そこだけはよく、覚えているの。おかしいね。
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スープストックトーキョーに最初に来店してから、もうどれくらい経つだろうか。広尾、大崎、高田馬場……都内のたくさんの店舗を利用した。駅の中や近くでとても便利。
時間がないけれど、ちゃんとしたものが食べたい時、特に重宝した。この「ちゃんとしたもの」の定義は曖昧だけど、カロリー過多でなく、野菜もタンパク質も取れて、美味しいものを指す。要は、ギルトフリーな食事をしたいのだ。
スープ類は体が弱っている時も食べられるのがありがたかった。熱中症気味の時の冷たい翡翠粥は天使の食べ物だったし、なんとなく食欲がない時も野菜中心のものを飲んだりして、不調を乗り越えた。
普段たまらないポイントカードが、ここでは実に良くたまった。店員さんはいつも優しくて、礼儀正しい。スープにほとんどハズレがない。わりあい夜遅くまで営業している。そして、似たようなお店は依然としてあまりない。そのような理由で足繁く通うようになったら、いつの間にかまあまあのヘビーユーザーが誕生したのである。
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スープストックトーキョーのミッションは、スープを通して世の中の体温をあげることだという。
美味しく優しいサービスを提供してくれるこの会社のおかげで、生き延びてきた。もしかすると本気で、私の体はワインではなく、スープストックトーキョーのスープで構成されているのかもしれないな。え?あなたもそう?
さて。今週は何を飲もうかな。
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