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"ことばが好き"の原点には

ちょうど1年半ほど前に、友人の結婚式に行った。

フリーランスのカメラマンをしている旦那さんのそうたさんと、看護師をしていたが退職しヘアメイクを1から勉強し始めた奥さんのあつこさん。


その2人の結婚式が、私には衝撃だった。

2人の持つパワーが、爆発しているように見えた。


そうたさんの写真がたくさん飾られた式場のロビー。

あつこさんがチョークアートで描いたウェルカムボード。

参加者を最大限に楽しませるための演出が溢れた披露宴。


中でも1番の衝撃だったのはあつこさんが、そうたさんがハワイの海で撮影した写真をプリントしたカラードレスを着て登場した瞬間だった。





そうたさんが海の中で命懸けで撮った写真を、あつこさんが結婚式でドレスにする。

写真、発想、行動力。
全てに、私は圧倒された。

夫婦のパワーが全開のそのドレスが、本当に綺麗だった。

その時その場にいた私は、ちょうど就職活動を始めた頃で、自分自身と向き合う中で自分の空っぽさに絶望のような情けなさを感じていた。

今まで全く自分と向き合えていなかった自分を見つけてしまっていた。

結局、もっともらしく聞こえる言葉に頼っていただけで自分が何をしてどう生きていきたいのか、その本質の部分を見つけていないままだった。

何が好きで何がやりたいのかも、なにも知らなかった。

自分のことなのに。

そんな時だった。
そんな時に2人の結婚式で、衝撃を受けた。

そしてその瞬間。
衝動的に

"私もこんな風に生きたい"

と思った。
これまでの人生で初めて"憧れ"という気持ちを抱いた。

そして結婚式が終わり2次会の席でそうたさんと話した時に、そうたさんが私にかけてくれた何気ない一言に私は背中を押されたような気がしている。

「まりことあつこと一緒に、なんか出来たら面白いよね」


そうたさんが静かにこぼしたその言葉に、私は希望のようなものを見出してしまった。

2人と何か一緒に出来る未来が、その可能性があるのか。
憧れの次にもらったその言葉に、飛びつくしかない。飛びつきたいと思った。

「そうたさん、弟子にしてください」



結婚式の2日後、私はそうたさんに電話をかけてそんな突拍子もないことを伝えていた。

"弟子"なんて言いつつ何がしたいのか、何になりたいのか全く分かっていなかった。
そこにあったのは"この人について行きたい"という気持ちだけ。

「ごめんなさい、こんなこと言いながら私もよく分かってなくて。でもこの気持ちを忘れちゃう前にとりあえず行動しなきゃと思って電話しました。」

そんな勢いだけに任せた言葉を、そうたさんもあつこさんもしっかり受け取ってくれた。

「やりたい事、なんでもやろうよ」


やりたい事をなんでもいいから教えて欲しい。やりたくない事もちゃんと伝えて欲しい。

2人はそう、言ってくれた。

有難くて嬉しくてドキドキした。
自分の心臓の鼓動がはっきりと聞こえた。

その音を聞いて自分の進んだ一歩は間違っていなかったと確信した。

そこから、2人と何度もビデオ通話で話した。

"私は無敵!すごい!なんでも叶っちゃうとしたら!"
その前提でやりたい事を100個書き出した。

100個も書いたけど、やっぱりよく分からなくて。やりたい事なんて沢山あるけど一個もないような気持ちにもなった。
でも、

「今のまりこちゃんに何が出来る?きっと、何も出来ないよね。だったらやりたい事なんでもやってみたらいいじゃん」

そうやって強く背中を押してもらった。

「やりたいって思う気持ちが才能なんだよ」


そう言ってくれた友人もいた。

だから

そうたさんとあつこさんと砂丘をダッシュして美味しいうなぎを食べに行った。

フィルムカメラを買った。

noteを始めた。

コロナで中止したが、1人で小笠原諸島に行くために船と宿を予約した。

就活もなかなか上手くいかなくて、説明会も面接も何度も受けた。

やりたい事がまだ分からなかった私にとって、就職活動はとりあえず完全に自立するための手段のひとつだった。

何度も何度も自分と向き合った。


そして、その中で少しずつ見えてきたのが
"言葉が好き"
ということだった。



昔から本を読むことが好きで、言葉を読むのも書くのも好きだった。

これを機に始めたnote。

私の言葉や文章を読んで、ちゃんと受け取って、"書ける"可能性を見つけてくれたのもそうたさんとあつこさんだった。

自分の熱い想いを表現すること、形に残すこと。

自分だけでなく出会った人の想いも形にする。
人生の記憶に残る瞬間を刻むこと。

私があの時抱いた憧れとは、そんな姿だったのかもしれない。


自分には、そのための手段として言葉があるのかもしれない。


そしてその気持ちはどんどん強く濃くなっていった。

言葉を探す時間、紡ぐ時間。
自分の言葉が届いた瞬間の喜び。
自分の心が動くのを感じる。


私は、言葉が好きだ。


やっと、気付くことが出来た。
私のやりたい事。好きなこと。


そこから、趣味で文章を書いたり書き方を勉強したりコンテストやコピーの募集に応募したり。

少しずつ自分の言葉を外に出して。

社会人になって会社で働きながら、言葉と関わり続けた。

そして、企画メシに飛び込んだ。



色んな人と出会い、少しずつその想いに触れて、気付いて。
やっぱり私は、ことばが好きだし人と関わることも好きだなと強く思った。

自分の紡いだことばで、自分の好きな人、大切な人と何かしたい。
仕事がしたい。

たくさんの人と出会いながら。
想いをことばに込めながら。

まだまだ、夢はふわふわしたままだ。
でも世界はことばで出来ていると思う。
だからこそきっと、ことばで色んなことが出来るはず。


ことばで、人と関わる。
ことばで、出会う。
"ことば屋さん"に私はなりたい。

やっと見えた、口に出して言えるようになった私の夢。

その想いはどんどんどんどん強くなっている。

"ことばが好き"の原点には、私の大好きな尊敬する人たちがいる。

その人たちのところまで、この想いを繋げたい。
その先になにがあるのか、その景色が見たい。

だから、待っていてください。


走っていきます!

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