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『ぼく モグラ キツネ 馬』

今日は、本屋さんで偶然出会った本の紹介です。
こんにちは!くつばこ+のせんです。図書館で小学生のときに大好きだった『引き出しの中の家』という本を見つけて、思わず借りてしまいました。小人がクッキー生地の上をケンケンしながら、足跡をつけていくところがお気に入りです。(でも今日紹介するのは別の本)

☆どんな本?

不思議なタイトルと独特な絵のタッチが特徴のこの絵本。著者はイギリス人のイラストレーター、チャーリー・マッケジー。イギリスで2020年一番売れた本となり、さらにハリー・ポッターシリーズに次いで「史上2番目に売れたハードカバー本」だそうです。日本でもいろんなテレビで紹介されたり、Amazonの書籍総合ランキング1位をとったりと、いろいろなところで話題になっています。
登場人物は題名の通り、ぼくとモグラとキツネと馬。彼らは森を旅しながらいろんなことを考えます。自分がいる意味、夢、友だち、居場所、やさしさ、つよがり…。疑問に思ったことをつぶやいて、誰かがそっと答える。このやりとりと、黒の線をベースに描かれた絵で物語は進みます。

☆「ふつう」なことが怖い

4体の会話を読んでいると、何度もハッとさせられる言葉が出てきます。その中でせんに刺さったのはこちら。

“ときどき ふあん になるんだ。
ぼくが ふつうだってことを みんなに きづかれたら どうしようって。”

ぼくが つぶやくと モグラはいった。
“とくべつだから すきになるわけじゃない”

ぼくのつぶやきに不意をつかれ、モグラの答えを見て言葉が出ませんでした。「ふつうだってことを気づかれるのが怖い」、この言葉の意味、ピンと来ますか?
今でこそせんは、中途難聴になり間欠性外斜視も開示して「珍しい人」になりましたが、小中学生のときはなんの変哲もない子だったんです。何かが特別出来るわけじゃない。せんはこれに長けてるよね、とか、せんはこういう子だよね、ここが他の子と違うよね、というのが何もない。私の個性ってなんだろう?って思っていました。個性がないって、「自分じゃなくてもいい」って言われてるみたいなんです。それがすごく怖かったし悔しかった。

☆マイノリティ・当事者への憧れはここから

そんな思いがあったので、「他の人と違うこと」に憧れがありました。他の人と違えば周りが興味をもってくれる。自分がここにいる意味ができる。そういうものが欲しくて仕方ありませんでした。
今ならわかります、どんな人にも他の人と違うところがあって、その違いに苦しむこともあること。みんなが他の人と違うことを望むわけじゃないこと。でも必死に自分の個性を探していたあのときのせんは、きっとふつうでいることが怖かったんだろうなと、ぼくとモグラの会話を読んで思います。

マイノリティって、他の人と違うって、かっこいいと思うんです。「プロ」も「スペシャリスト」も「専門職」も「マイノリティ」も、“あることに対して他の人よりも詳しく知っている人”という意味は同じなのに、「マイノリティ」に対してだけはマイナスなイメージがついてくる。「なんでだろう、マイノリティってかっこいい!って言いたいんだけどな…」と思うせんでした。

今日紹介した言葉の他にもたくさんハッとさせられるものがあるので、ぜひ手にとってじっくり読んでみてください!




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