【漫画・小説短評】4
今回は海外小説のレビューです。
『ストーン・シティ』上下巻 ミッチェル・スミス
あらすじ
ミッドウェスト大学の教授だったバウマンは、酔っ払い運転で少女を轢き殺したため、二千人の凶悪犯が収容された州立刑務所に服役している。刑期を無事に終えることだけを考えていた彼だが、所内で起きた連続殺人の捜査をする羽目に…。
感想
主人公バウマンの相棒となる美貌の男囚、カズンズがすっごくいいキャラでした。入所早々に黒人たちに輪姦されてゲイになっちゃった人で、可憐な少女のような少年として描かれてます。
彼は恋人の囚人(当然男です)を殺されて復讐のためバウマンと行動を共にする未亡人なんですが、あまりにもかわいすぎてノンケで妻帯者のバウマンも危うい感じになります。
ほかの囚人たちも凶暴ながらに人間くさいのばかりで、「悪人名鑑」とかそんな感じのものを読んでるみたいで楽しかったです。
オススメ!
『はいつくばって慈悲を乞え』ロジャー・スミス
あらすじ
元モデルの美女ロクシーは夫を射殺した。すべてを強盗の仕業に見せかけようとするが、真相に勘づいたギャングにゆすられる羽目に陥る。偶然そこに現われた傭兵ビリーは、遺産の一部とひきかえにロクシーの護衛を買ってでる。しかし事件の周辺をかぎまわる野心的な刑事や、残虐な脱獄囚の思惑がからんだ末、地元のギャング団をまきこんだ壮絶な闘いがはじまる―
感想
アフリカのケープタウンが舞台という変わり種ですなんですけど、北斗の拳さながらのヒャッハーな世紀末都市で、毎日のように人が死にまくる犯罪天国です。
複数の登場人物の行動が絡み合いながら物語が進行するのですが、お気に入りはやっぱりパイパー×ディスコのカップル。
パイパーは血も涙もない極悪人なのですが、妻のディスコ(男です)恋しさで泣いちゃったり彼のためならどんな悪行でもしてのけたりと、ヤバいくらい一途でサイコな彼氏です。
美形だけどバカでヤク中のディスコは彼に暴力で支配され、パイパーのメチャクチャな行動につき合わされます。
このふたりの顛末を読むだけでも価値あり。オススメ!
『シスターズ・ブラザーズ』パトリック・デウィット
あらすじ
粗野で狡い兄・チャーリー。普段は優しいが、キレると大変なことになる弟・イーライ。悪名とどろく凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ。
感想
ゴールドラッシュに沸く西部劇の時代が舞台です。荒くれ者のお兄ちゃんチャーリーと、気のいいのんびり屋だけどキレると兄以上に何をするかわからない弟イーライ、このシスターズ兄弟のロードムービー風のお話です(シスターズというのはふたりの苗字で姉妹は出て来ません)。
チャーリーはすぐ人を殺す危険人物なんですけど弟には優しくて、実はいいお兄ちゃんなんです。イーライはそんな兄を慕いつつも、できれば昔の(ある程度は)マトモだったころに戻って欲しいなあ……と思っています。
先述の『はいつくばって慈悲を乞え』と同じく悪人と変人だらけのお話しなんですけど、だからこそシスターズ兄弟の絆が光ります。
兄弟ものが好きならオススメ!
総評
三作いずれも大好きな作品です。ほかにも語りたい海外小説はいっぱいあるんですが今回はこのへんで。
(小膳)
ほんの5000兆円でいいんです。