楠浦と「発明塾」の過去発明紹介(2) ~ 「川崎重工(Kawasaki)」時代(続き)
前回に引き続き、Kawasaki(川崎重工業)時代の話です。
私が発明者に入っている特許を紹介しつつ、当時の発明(?)を振り返ります。
●「表面処理」は、材料コストを下げるという「価値」を持つ
1つ目は、以下です。
ひとことでいうと、エンジン内部のある部品が、
「焼き付かないようにする表面処理」
の発明です。
これは、川崎重工業の明石技術研究所(通称、明石技研)の方々との、共同研究成果です。
発明者がたくさん入ってますし、それらの方々の、過去発明を見れば、バイク屋ではないな、とすぐわかりますよねー。
この辺の、発明者分析の話、とっても大事なんですが、詳細は、
に譲ります。
(本日の主題ではありませんから、、、ご勘弁を)
発明の
「本質」
を見抜くために、
「請求項」
を読みましょう。
請求項を読むのが大事という話は、過去メルマガでも取り上げました。
最も大事なのは、請求項6と16です。
「【請求項6】 エンジン摺動部品がシフトフォークであ
り、その基材が炭素鋼又は低合金鋼で作製され、その摺
動面となる基材の面に硬質薄膜を生成させる前に、高周
波焼入れ、浸炭、窒化及び軟窒化の少なくともいずれか
の方法にて基材面に表面硬化層を生成させた請求項1〜
5のいずれかに記載のエンジン摺動部品。」
16は6を方法にしただけなので、割愛します。
材料に詳しい方はご存知でしょうが、
「いい材料使えば、焼き付きを押さえる方法はいくらでもある」
んですよねー。
それを
「安ーい材料で済ませる」
のが、表面処理の仕事です。
なので、
「炭素鋼又は低合金鋼」
が重要な要素になります。
シフトフォークとは、以下のような部品です。
ぎゃー、懐かしー(笑
焼き付いたら困るのは、12 の部分だけですので、安―い材料使って、ここだけ表面処理すればいいよね、という発明です。
細かい技術内容は、今や当たり前の話ばかりですので、割愛します。
私は、大学時代に
「チタン合金」
をはじめとする各種金属材料の熱処理、それで生まれた組織と強度の関係について研究していたので、こういうプロジェクトにも参加させられ(?)てました。
(大学時代の研究で、英国材料学会の賞をいただきましたー、感謝!)
新機種開発とは、別の仕事です。
(関係はありますけど、、、不具合対策から派生したプロジェクトですので)
シフトフォーク関連は、もう一件だしてます。これは、専門的過ぎるので割愛します。
長くなりそうなので、次、行きましょう。
●「二重中空」になったパイプを、中空のまま曲げるには
これは、通称
「氷曲げ」
と呼ばれる、業界では有名な技術に関する特許です。主たる発明者は、筆頭の方です。
(私も、貢献はしておりますが、、、)
ちなみに、
「氷曲げ」
という技術は、
「金属の管を、つぶさずに曲げる」
技術としては、広く知られています。
以下、楽器の
「ホルン」
の製造にも使われているそうです。
したがって、ここで紹介している発明は
「ある業界で、広く知られている技術を、別の業界で応用した発明」
の1つだ、といえます。
よくある話ですね。
オートバイの
「排気管」
ってのは、大体上記のような形状です。2 の部分に関する発明が、今回のものです。断面は、以下のように
「二重中空(中空二重?)」
になってまして、それを、
「つぶさずに曲げる」
のが味噌です。
わからない人は、スルーしてくださいませ!(笑
ということで、ほとんど特許出願してないので、貧相な発明紹介になりました(笑
仕事は、もっと頑張ってたんですけどねー、、、泣
(月100時間以上の残業と、毎週の休日出勤とかー)
将来、話すネタが欲しい方は、特許提案、ガンガン出しときましょうね(笑
次は、コマツ時代の発明紹介に行きます!
楠浦 拝
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