「特許」を「投資」に役立てる~100年成長する企業を見つけ・応援し・育てる

TechnoProducer(テクノプロデューサー)株式会社 CEO の楠浦(くすうら)です。

まだ告知できませんが、投資家の方向けのメディアに顔出しさせていただく機会が近々ありそうですので、その準備も兼ねて、「特許と投資」に関するメモを、ここに書いておきます。

あくまでも、備忘メモ程度ですので、さらっと読み流してください(笑

特許と投資について、なぜ僕が、いま語るのか

お前、何者?ということにならないように、特許と投資との関わりにできるだけ絞って、簡単に自己紹介を。

【経歴】大学で、機械工学とエネルギー工学を専攻したのち、モビリティ・再生可能エネルギー・医療ロボット・ナノテク・光半導体・細胞培養などの分野で、新製品開発と新規事業開発、および、企業立ち上げを経験。また、発明塾®OBOGさんの提案と協力で、学生さん向けの「発明塾®」でブロックチェーン技術を用いた発明創出支援システムの研究・開発を実施。

事業開発には、上手くいったもの(再生可能エネルギー・細胞培養)も、行かなかったもの(医療ロボット・ブロックチェーン)もありますが、ざっと振り返ってみて、「今、まさに熱い分野」を先取りして、継続的に新規事業と新製品開発に関われたことに、感謝しています。ナノテク時代は、産業技術総合研究所での研究員としての活動も経験させていただき、基礎研究から起業・資金調達(その後、一部の事業はExit)まで、一気に経験できたのも大変ありがたく思っています。関係者と投資家の皆様のおかげです。なかなか、ここまでの多様な経験は、自分で希望してもできなかったと思います。

ちなみに、過去の新規事業・転職・企業立ち上げのほとんどは、自ら希望したというよりは、すべて成り行きや巻き込まれ、、、「誰もやらないなら、仕方ないからやりますよ」、挙句の果てには、「言ってたことと話が全然違うじゃないですか、なんでこんなことになってるんですか、このままだと会社潰れちゃいますから、僕がやりたいようにやりますけどいいですか?」という感じですが、、、。なんでしょうね、貧乏くじ?を引きたいタイプなのかな、僕は(笑)

現職のTechnoProducer(テクノプロデューサー)株式会社では、立ち上げ当初から、米国の「発明投資ファンド」(知財投資ファンド)の依頼で発明創出の仕事に、かなり没頭してきました。

「事業への投資」だけでなく、「発明への投資」「知財への投資」へ、時代が動きつつあることを、日々、投資家とのやり取りで、肌で感じてきました。この「技術と事業を開発し、特許や知財を出す」側の経験と、「特許や知財を評価して投資する」側の方々との仕事に没頭した経験が、弊社の「独自の価値提供」を支える資産の一つになっています。

お陰様で、投資家の方に特許をどう読むか、セミナーなどでお話しする機会をいただくところまで来ました。

100年続く「事業」「企業」を、特許と投資から

前置きを、もう少しだけ。

弊社は、「100年続く事業」と「現代のエジソン」を育てる、をビジョンに掲げ、2008年の創業から大手製造業を中心に392社のお客様に、新規事業創出コンサルティング、および発明・知財教育サービスを提供してきました 。
https://www.techno-producer.com/company/ 

企業への投資において、僕が個人的に重視していることは、「株式を売る必要がない企業に投資する」ということです。僕はこのスタンスを個人的に「永久投資家」と呼んでいます。

「成長し続け、100年後も存在している企業」

を見つけ出し、応援する、これが、多数の新規事業・新製品開発と2回の起業を経験してきた僕の、「投資」に関する結論です。事業を生み出す側の企業の支援は、「企業内発明塾®」サービスとして既にある程度完成しました。お陰様で、今年も多くの企業様で新規事業提案がガンガン出て、予算が付き、どんどん実行に移されています。立ち上がって軌道に乗っている新規事業もいくつもありますし、すでに目途がついて別会社化されているものもあります。

次は、「投資する」側の方に、

「そういう企業を応援しましょうよ!」

と呼びかける段階だ、と考えています。100年成長し続ける企業は、それなりの大きな時代の流れ、社会の課題に挑み続けながら、日々、それを「顧客課題」へブレークダウンして事業機会として捉え直し、新規事業や新製品を生み出し続けることになります。

単発の事業や製品ではなく、そういうものを

「産み出し続けられる組織能力」

が必要になります。弊社の「企業内発明塾®」サービスも、結果を出しながらそういう組織を育てることが、ミッションになっています。その組織能力の有無やレベルを読み解くヒントの一つが「特許」なんですね。

「イノベ―ションを起こし続ける」企業を見極め、応援するのが投資

実はここまで、僕が「株式投資」という言葉を使っていないのには、理由があります。世間でよく言われる、株式投資用語に「銘柄」という言葉があります。個人的には、あまり好きではありません。投資家の方と話をするときには僕も使いますが、普段は「企業」と呼んでいます。企業に投資する、あるいは、企業の一部を所有する、という本質を自分として見失わないようにするためです。

また、僕の中で投資における「上場」「非上場」(スタートアップ含む)企業の区別はありません。例えば弊社の非上場企業支援の一部は、株式・ストックオプションを対価として支払っていただき、行っています。これも投資ですね。自分たちのサービスが顧客企業の企業価値向上に著しく貢献する、と信じているからできることです。

新規事業支援でも全く同じことを言うのですが、「市場が成長している」というのは、そこに参入する企業の成長を意味しません。したがって、そこに参入する企業への投資の根拠にもなりません。このように、新規事業を興す側のロジックは、そのまま、投資のロジックになります。企業を「事業を興す側の論理」で、つぶさに観察すれば、投資する理由があるか見えてくる、と僕は考えています。

むしろ、「その企業が参入するからこそ、その市場は大きく成長し、そこでその企業がぶっちぎりの独走を続ける」というような、イノベーションが起こせる企業(新規事業)を興し、それを支援(投資を含む)する、というのが僕のスタンスです。これを100年繰り返せる企業が、いろんな意味で僕が求めている企業です。企業内発明塾®」では、これを「事業を興す側」の中に入り込んで支援し、投資家とのお仕事では、そういう企業を見つけて投資可否判断いただくことを支援する、それが僕と弊社の役割です。

ちなみに、まだそういうことに本腰を入れようと、弊社あるいは僕へコンタクトいただく投資家は、多くありません。今がチャンスですね(笑

まぁ、売ったり買ったりする方が毎日ワクワクして楽しいですし、それを促すいろいろな仕組み(例:売買手数料や月次レポート)が存在しますから、やむを得ませんね(笑

「イノベーションを興し続けられる組織能力」を見極めて投資するために、特許を使う

なんだかんだで、長くなりました。弊社のとある敏腕Webマーケ担当が、いつも「こんな長い記事は、誰も読まない」と口癖のように言っておりましたので、ここから先は端折ります(笑

詳しくは弊社の書籍をお読みいただきたいのですが、特許を調べると、その企業の競争力の源泉になる技術を、いつ・だれが・だれと・どのように開発したか/してきたか、が手に取るようにわかります。

こういうことを言うとよく、

特許だけで、どこまで分かるんですか?

というご質問が来ます。わからないところは、ファンドマネージャの方や投資アナリストの方と一緒に、ヒアリングに行きます。ヒアリングに行って、どう確認するか、確認結果が正しかったかどうかなども、上記の書籍に書いております。僕の特許分析に限って言うと、大体正しいようです。あまりに正しすぎるので、

「良く調べましたね」

と、先方がもっといろいろ教えてくださった例も、多数あります(笑

他の方が調べた結果がどうかは、僕にはわかりませんので、一般論として特許でどこまでわかるか、というご質問には、お答えできませんね、、、ごめんなさい。

僕は、ヒアリングに行って常に「答え合わせ」をしているので、分析精度が高くなっているのかなと、他の特許分析されている方とお話しして、感じます。皆さん、答え合わせをせず、分析しっぱなしのようです。これでは精度を高めようがありません

分析したら、株主になってヒアリングに行くなり、IR担当の方に質問するなり、株主総会で質問するなり、をお勧めします。僕も実際、つての無いところには、株主になってヒアリングしに行ったり、場合によってはアライアンスの提案などを行います。答え合わせをせずに、自らの技術を高められる方法を、僕は知らないからです。

まぁでも、昨日100株買ったからといって、特許に関する技術開発の状況など、会社の重要情報をぺらぺらとしゃべって教えてくれるはずもありませんので、じっくり分析して、そこでまずある程度の確信を得て、時間をかけて十分な数の株式を購入して、さらにヒアリングに行く、のような

「胆力」

が、(個人)投資家にも求められますね。面倒だから、こんなこと誰もしませんよね、するとしたら僕だけでしょうか(笑

100年成長し続ける企業を買うのなら、分析や投資は10年でも短いでしょう。30年ぐらいかけて、じっくり投資していけばいいわけです。焦る必要はありません。そのうち、先方のIR担当者より詳しくなれそうです(笑

そもそも「イノベーションの余地があるところ」を見極めて投資するのにも、特許は使える

そもそも「イノベーションの余地がある領域」「イノベーションが起こりつつある領域」を見つけることに、特許や論文は向いています。これは、弊社の「企業内発明塾®」で用いている、「エッジ情報®」分析の手法そのものです。余地があるところを見つけ、そこに参入して独走している企業を見つければ、投資候補が見つかったことになります。十分な競争力を長期的に有すると判断できれば、投資確定ですね。

難しい話も嫌われると、その敏腕Webマーケ担当が申しておりましたので、これ以上のややこしい話は割愛します(笑

でも、一つだけ書いておきますね。

投資における特許の読み方で、大事なことは「特許から本気度を読む」こと

皆さんからよくいただく質問、いや、クレーム(笑)の一つに

「特許は、内容が難しすぎて読めない」

があります。僕はよく言います。

「だったらやめておけばいいのです。あなたが、絶好の投資機会を見逃すだけで、他の人(僕)はちゃんと見つけますから」

こういうと、皆さん、もう一度読みますね(笑

技術が難しいのか、特許の書き方が難しいのか、ここも混同している方が多いようです。特許が難しいとおっしゃる方のだいたいは、まず、「技術を理解していない」ようです。特許以前の話ですね。

勉強しましょう。

以上です(笑

書籍「新規事業を量産する知財戦略」にも書いたのですが、特許を正しく読めば、その企業が

「本気で取り組んでいるか」

見えてきます。本気でない取り組みが成功する可能性は極めて低いですので、単に特許が出ているという話で終わらせず、

「本気なの?」

を、しっかり読み取りましょう。本気度を読み取るには、それなりの特許情報分析スキルと、知財戦略に関する知識などが必要になります。弊社の教材では、以下で取り扱っています。ファンドマネージャや投資アナリストの方で、ここまでの分析を行っておられる例は、さほど多くないようです。このへんに、個人投資家でも、大手投資ファンド以上の投資機会を見つけられる可能性があります。

100年保有するつもりの企業ですから、「本気度」は大事です。過去の特許にさかのぼることは当然ですが、主な発明者の過去特許もすべて調べ上げ、人脈や力量、過去実績(これは論文や学会発表なども)を評価しておきます。後継者がいるか、とか、そういう視点も大事です。100年先まで、見通したいからです。その上で、ヒアリングですね。組織能力の話にも、つながります。

「投資と特許」「投資と知財」についてのまとめ

弊社が取り組む限りにおいて

「100年続く事業」と「現代のエジソン」を育てる

のスタンスは変わりません。100年保有できる企業を探す。100年成長し続けられる企業かどうか、正しいポジションにいるかどうか、そういうことを調べていくわけです。そして、応援していく。

また

その会社に、未来のエジソンはいるのか?

を見抜くための、特許分析でもありますね。弊社が企業内発明塾®」で支援している企業には、必ず近い将来、そういう人材が

「束になって」

現れてきます。それが、特許分析で見つかるかどうか。

あなたの力量次第です(笑

お楽しみに。

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楠浦 拝

P.S.
続きを以下に書きました。



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