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「未来予測と未来づくり 〜ポストコロナ、グローバルリセットを機に、今みなさんが考えるべきこと、とりくむこと。」講演・対談のご報告

2022年4月28日に、株式会社経営技法主催のセミナー「未来予測と未来づくり 〜ポストコロナ、グローバルリセットを機に、今みなさんが考えるべきこと、とりくむこと。」で、講演・対談をさせていただきました。

年に1‐2度、セミナーなどでご一緒する「株式会社経営技法」「ユニークブレインラボ」の鈴木さんのお導きで対談させていただいたのは、「日本環境設計」の岩元会長です。以下記事にもありますが、ペットボトルや衣類の原料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)を分解し、BHET(ビス2ヒドロキシエチルテレフタレート)にして、再結合して新しいPETを製造するプロセスを世界で初めて実用化され、大規模プラントをつくられました。

最近かなりニュースになっておりますが、以前、たぶん2011年~2014年頃だと思いますが、知財系の勉強会で一度お話を聞いたことがあり、その時に、知財顧問をされている弁理士の方が「とにかくすごいことをやろうとしている会社だ」と熱く語っておられ、印象に残っていました。10年ほどたって、このようなご縁がいただけるのも不思議な感じです。案の定(?)すごいことになってます。

対談に際し、事前におおよその話題というか、ご質問のようなものを鈴木さんに準備いただいておりまして、私の方も事前にそれに対する回答というかコメントを準備しておりました。当日、時間の都合で端折った部分も含め、振り返りとして、以下に原稿を加筆掲載しておきます。後日、録画が見れるようになるそうですので、準備整ったらこちらにも告知しますね。

1.直近の話題・トピック

「企業内発明塾®」参加者が400名を超え、「e発明塾®」も昨年の今頃で8350名、現在おそらく9000名を超えたと思われます。いよいよ、弊社サービス利用者数は「1万名」の大台が見えてきました。「1万名」の「発明塾®生」がいる、というのは非常に心強い

もちろん、塾生意識に濃淡あると思うけれど、とにかく同じ教材で学んだ「同志」が1万名いるというのは、今後何か「チャレンジ」したい人には、心強いのではないかなと思う。ぜひ、「発明塾®知ってる?」を合言葉に、社内外で「同志」を見つけてもらって、「切磋琢磨」して欲しいなぁと思います。

この14年は、とにかく「塾生さんを増やす」これ一点に集中してきました。大学生に始まり、企業内、高校生、そして、「起業家向け発明塾™」。「投資家」の方も、動画講座を中心に増えております。企業内発明塾®、e発明塾®、動画講座の受講者が「1万名」の大台に乗りましたら、またご報告します。セミナーを含めるとすでに超えていますが、ZOOMでのセミナーなどは正確な人数がわかりませんので、数に入れておりません。もちろん、セミナー参加者の方も、自覚がある方は皆さん発明塾®生です。

取引社数は昨年の今頃で392社ですので、もう「400社」は越えていると思いますが、やはり「塾生さんの人数」が一番大事かなと思ってます。「よい仲間とよい議論®」の基盤が、ようやくできてきました。モノづくり系企業の技術者と知財関係者中心のニッチのニッチのどニッチの世界で「1万名」の塾生ですよ、現在、たった8名の会社で。それなりの勢力ではないかなと、「発明塾®」生は。

2.可能性がある魅力的なシーズに出会ったとき、どんな驚き、不安、期待を感じたか?

直接の答えになっていない部分もありますが、私のメッセージは以下です。

大事なことは、「可能性がありそう」であって、かつ、「これ、自分がやらなかったら、誰もやらないか」ってこと、そういう感じがするものは凄くワクワクしますね。誰かがやりそうなら、「お任せしようかな」ということです。「人生は有限」ですから。

特に、自分がやってみたい時に、「他の人がやりたくない理由」がわかると、凄くワクワクします。「あー、みんな、これはやらないのか」みたいな。なので、僕がやり出すことは大体、その時点ではあまり儲からなさそうなことが多い気がします。今の仕事(教育)も、立ち上げ時に声掛けいただいたある方からは、「教育は国が無償でやるものだから、絶対もうからない、やめなさい」とおっしゃっていました。応援しています、という方の中にも、「なんで教育なんてつまんないことをいつまでもやってるんだ、だったらもう、応援はしないよ」ということで、さようならした方もおられます。

はい、僕は「あなたがやらないから、やります」「あなたが応援しないから、やるんです」という、ちょっとおかしい人なんですね(笑。全員がやりたがって、全員がもろ手を振って熱狂的に応援する事業は、僕的にはちょっと危ない気がするわけです。色々な意味で。

あと、書籍にも出てくる僕の後輩の一言が、結構効いています。「楠浦さん、思いついた時点で、できそうなことをやっても仕方がないですよ、そんなの、とっくにどこかの誰か、天才がやってます」とのこと。書籍に書いてますが、彼曰く「楠浦さん程度の人は、世の中にごまんといる」わけで、「そこで勝ち上がるにはどうするか、徹底的に考えないと、絶対負けます」ということです。「ぐうの音も出ない」というのは、こういう時に使う日本語だったかと、思います。いや、知らんけど(笑

とにかく、優秀な「後輩」がいると、人生がシンプルになります。ほとんどのことは、やる必要がなくなりますからね。

3. 技術課題や事業構築上の課題をクリアしていく上で、リーダー(あるいはファシリテーターとして)心がけたことは?

追加コメントいただいていた部分として「反対者、賛同者のような反対者を巻き込むにあたって、ぶつかった制約、壁、乗り越え方、回避の仕方」「投資家、企業経営陣への説得の苦労やコツ」「起業家として、社員、パートナー皆さま、コミュニティづくりでの工夫」なんかを、特に教えてください、とのことでした。

これも、直接の回答になってない部分も含め、以下にメッセージを。

まず、反対している人が「どれぐらい考えている人か」によるんですね、何ごとにおいても。考えてない人の反論も大事ですが、考えている人の反論も重要。ただし解釈や利用法は、全く異なる。また、「どれぐらいの人が、これを真剣に考えるか」について、おおよその比率なんかも、「反対派」の勢力分布(笑)でわかります。反対意見をどう使うか、というと、まずこう使います。どうせやるんですから、反対されても何しても知ったことではなく、動揺する必要もない。それは「情報」として使えということ。

そして、そもそも「自分がどれぐらい考えているか」にもよる。考えてない人には、反対意見は使いこなせない。逆に考え抜いている人の場合は、「反対意見」を通じて、周りの「その他大勢」が「やりたくない理由」「やらない理由」「できない理由」が分かる場合が多いので、「反対する人」がなぜ反対するか、なぜできないと思ってるか、などを、根掘り葉掘り聞きまくるのが重要なんですね。この時、反論したり論駁したりしないことも、とっても重要。まず、反対者の言い分を徹底的に聞く、それで「世間の99%の人がなぜやらないか」が分かり、結果として、「自分の正しさ」について、「本当の確信」が持てるようになるというのが、これまでの僕の新規事業・起業・発明、すべてにおける経験からの結論です。

実行段階では、反対する多くの人が欲しいのが、「証拠」だったり、「周りの同意」だったりするので、「まず小さな成果をつくる」ことに注力します。結果が出れば、人は変わります。まず、「あなた」が変わります。自信がついて、言うことが変わってくる。話にも具体性が出てくる。特に最初の1つ目が大事。うれしくて、実際に買ってくれたお客さんに徹底的にヒアリングしたりするでしょう、それはあなたの「宝物」としてきちんと記録しておくこと。僕がKawasaki時代には、自分が設計したバイクを予約しに来た人に根堀り葉堀り、いろいろ聞いてました。なぜ買うのか、買ってどこ行きたいかとか、どこが気に入っているのかとか、聞きたいことは山ほどあります。だって、自分で設計しているわけですから、毎日毎日、来る日も来る日も、目が悪くなるぐらい、図面とにらめっこして。

結果が出る。そして、あなたが変わる。あなたが変われば、周りも変わります。「インサイド・アウト」の原則です。あなたが変わらずに周りが変わることは、僕の経験上まずありません。「証拠」があることで、全員が変わるんですね。証拠で説得する、という感じではなく、自然に変わる。そいいうイメージです。

企業内発明塾®」開催企業の方が、こうおっしゃっています。
(企業内発明塾®開催部署の責任者(決裁者)の方のお声)

「参加者3名とも部長級が並ぶ席上でも臆することなく、それぞれ立派なもので思わず目が潤みました(笑)技術分野のバックグランドのなかった参加者が、これはアンサーに戸惑うのではないかと冷や冷やする質問に対しても、毅然と別添資料や関連HPを映し出して応える姿に、ご指導を賜りながら、提案テーマの最先端の情報を極めた自信が感じ取られ、頼もしいと思いました。」

https://www.techno-producer.com/case/page/4/#voice

僕は、「人を説得するのは、基本的に時間の無駄」だと考えています。変わりたい人が変わっていく。周りが変わっていくと、自身も変わりたいと思うようになっていく。なので、やりたい人をみつけ、成果を出し、やりたくなかった人がやりたいと思うようにしていくしかない、というのが僕の意見です。

投資家についても、「証拠」があれば、意外にとやかく言われなかった、というのが前職のナノテクスタートアップで資金調達をしての感想です。「この人たちが買うって言ってます」という証拠を、特許情報をもとにしたヒアリングで示したら、意外なぐらいあっさり資金調達できました。しかしこれも実際は、証拠が大事というよりは、「どれだけ詰め寄られても、すべて打ち返せるという、根拠ある自信」があったからかなと思います。多くのエンジェル投資家の話を聞くと、やはり彼らは技術のことは細部まではわからないようです。新しい技術ですから、当然ですよね。その分野の専門家の常識を覆すような技術について、1時間説明されて、「はい、よくわかりました」という投資家はまずいない。それよりも、人やビジョンを見ている、という声が多いですね。

ちなみに、社員やメンバー集めも結局同じだと思ってます。やる気を煽って、「やる気詐欺」みたいな採用をしても、すぐに辞めちゃいます。そういう人は、辞める前に会社の雰囲気を悪くしていく可能性もあります。それで辞める人が増えるのは痛い。なので、「やる気」を煽るようなことはしない。ありのままを良く話して、理由は何であれ、「普通に」来たい人に来てもらう。「働きやすそう」とかでも、よいわけです。「ビジョンに共感しました」とかである必要はない。

結局、「特別なことは何もしない」「当たり前のことを当たり前にコツコツ積み上げる」のが、一番、成果が出るというのが、いろいろやって分かったことですね。無理スジなことはしない、ということです。「道理」にしたがってやると。これも、ナノテクスタートアップ時代に投資いただいていたファンドの担当者の方に、「経営のスピード違反はダメだよ」と言われた経験が、もとになっています。やる気を煽る、というのは、僕の眼から見ると「スピード違反」なわけです。「煽る」んだから、正しい判断ができない状態に追い込んでる。それはダメですね。道理に反してる。そういうことしないとできないんなら、できなくていいと、僕は思います。ビジョンが崇高でも、手段が汚いのはダメ。そういうことです。

4.新しいことに挑む意義、価値、満足・・・やってみたからこそ気づいたことは?

まず言いたいことは、「自分の人生」が生きられるようになる、ということでしょうね。

あとは、良い仲間に恵まれる、ということ。一生懸命やってると、いい仲間に巡り合えるんですよ。現在の弊社メンバーはもちろんですが、最近で言うと、今回の機会を下さった「ユニークブレインラボ®」の鈴木さんもそうだし、セゾン投信の山本さんとか、億の近道の松田さんとか、リンクスリサーチの小野さんとか。挙げると終わらないので、他の方ごめんなさい m(__)m

中高大の同級生も、最近みんな応援してくれるようになって、有難いです。僕は、中学高校時代はあまり目立たない学生でしたので、みんなちょっとびっくりしてるかもしれません。大学でも、成績優秀でも研究熱心でもありませんでしたので、指導教官の方もビックリされていたようです。「よく頑張ってるねー」「いつもメルマガ読んでますよ」というメールが、何度も来ました。もっと早く頑張っておけばよかったですね(笑

5. ポストコロナ、グレートリセットに際して、今の時代変化の状況をどうとらえるか?

追加コメントで「時代の変化にあたっての心構え」「これから追求してみたい社会課題、提供価値等」も、話してください、とのことでした。

以下、簡単ですがメッセージを。
(詳細は、対談動画ご覧ください!)

いつも言ってるのですが、変化、特に、「技術の進化」がどんどん加速して、「もうそんなことできるようになったの?」という感じになっています。特にここ10年ぐらいは顕著です。TechnoProducer株式会社は、14年前の創業時から完全遠隔で在宅勤務ですが、始めた当初はインフラが整っていなくて、正直進めづらい部分がありました。でも、あっという間に時代が追い付いてきて、「コロナ」で「在宅勤務が普通」の世界へ突入。当日お話した大手電機の方も、「基本的に在宅勤務ですべて済む」とのこと。

「時代は加速している」「これからもどんどん加速する」というのを、特に50代以上の人は意識した方が良い気がします。これは、僕がちょうど50歳なので、自戒も込めて、ということで。「そんなのまだまだ先だよねー」とか言ってると、あっという間に置いてかれちゃう。

これからやりたいことは、同じ。引き続き、発明塾®の普及を通じて「新しいことにチャレンジしたい技術者」の方に、「武器を配る」仕事を継続していく、ライフワークなのでコツコツやるつもりです。僕にはこれしかないと思います。他のことは、他の方に任せます。これは、僕しかやらないことですから、これだけに時間を使いたい、他のことに時間を使いたくない。それにつきます。

発明塾®普及に向けて、特に注力したいこと、それは、「医療・ヘルスケア」領域での支援の拡充です。もともと医療ロボットをやり損ねたという起業の躓きから、ここまで何とか生き残ったというのがあるので、リベンジではないのですが、「発明塾にしかできないこと」で何か「医療」に貢献できる切り口を見つけたい、と考えています。まだ何も決まっていません。

「誰かができること」をやると、既にやっている人やそれをやりたい人の仕事を取ることになり、ご迷惑をかけるので、僕は「僕しかやらないこと」に注力する、というのはいずれにせよ変わりません。人生は有限です。

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楠浦 拝

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