【洋服屋の自分史⑥】たかが洋服であっても、その人にとってはかけがえのないものがある。プリントシャツ編
今回は、ここ数年愛用しているプリントシャツを取り上げます。
男性のプリントシャツ姿は、女性にはまったく受けないものですが、気に入って着ています。このプリントシャツ、洋服好きの人はすぐに分かったと思いますが最近めっきり影を潜めてしまったリバティプリントです。
リバティプリントは、一時期大ブームとなりセレクトショップはこぞってそれを使った商品を展開していました。今はまったくのダウントレンドで、一般的には終わっているものですが、天の邪鬼な私とっては、むしろ誰も着なくなった状況のほうがウェルカムです。
余談ですが、リバティプリントとは、ロンドンにあるリバティ百貨店のプリント生地のこと。長い歴史の中で生まれた数々のアーカイブ柄や現代のデザイナーによって新しく生み出された柄まで、100年以上経った今でも可愛らしさや優美さを大切に守りながら作られています。
リバティ柄は、様々な生地素材にプリントされ、代表する生地素材である長綿花の細繊維であるタナローン生地以外にもコーデュロイ、マドラスチェック、リネン、シャンブレー、ポプリン、シルク様々な生地素材にプリント柄が描かれており、幅広い商品に使用されています。
話しがそれましたが、このアイテムは、元ナンバーナインのデザイナー宮下貴裕氏と、アディダスのクリエイティブ・プロダクトマネージャー倉石一樹氏とがコラボレーションしたリーバイスのシャツ。ちなみに倉石氏はもともとAPEでNIGOのもとで働いたのち、アディダスを経て現在はノースフェイスのブラックシリーズのデザインを手がけています。
ディテールは、かなりこっています。ベースはウエスタンシャツでスナップボタンを使用していますがその数が多い!袖には5つもついています。また、前開きではなくプルオーバーになっていて両脇に小さなポケットが施されています。なかなか小技が効いたシャツです。タナローン生地ならではの柔らかい肌触りは抜群です。薄手なので暑い季節にもためらうことなく着る気にさせます。
5、6年前に3色まとめて購入して以来毎シーズン活用しています。サマーウールのショートパンツやデニムに合わせることが多いでしょうか。どれも発色の良いキレイな色なので他のアイテムは脇役としておとなし目のものを選びます。
独特の佇まいがくせになり、私のワードローブの中では欠かせない地位を築いています。