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米津玄師の4年ぶりの新アルバムが出る 彼はただの音楽家じゃないって話

僕は米津玄師のファンだ。数曲は知ってて、ボカロ出身の天才だとしか認知していなかったとき、2017年くらいにたまたまBootlegのアルバムを聴いてこの人はそこらへんのクソみたいなJ-POPのミュージシャンとは違う何かを持ってると鳥肌が立ったのを覚えてる。

自分は洋楽が好きで、しょうもないアイドルとか事務所が力を持つ邦楽には辟易してたのだけど、彼の音楽を聴いてからいてもたってもいられなくなって、普段ライブとか滅多に行かないけどライブツアー『Fogbound』を聞きに行った。

その時はなんかウキウキで聴きに行こう!ってのじゃなくて、なんか彼の声や音楽を生で聴かないわけにはいかないっていう何か切迫した天の声に従うみたいな感覚だった。それからずっとファンで『脊椎がオパールになるころ』『HYPE』(チケット当選するもコロナで中止)『空想』とライブに参加し、新曲が出るたび、彼のインタビュー記事なども必ず読んでいる。

ほぼ同年代ってのもあるし、インタビューなどで『オルタナティブな存在でありたい』『あまのじゃく』って自身の事を語ってる通リ、ひねくれものというか、大衆の意見に不信感をもっていて、誰もやってないこと、逆を行きたがるところとか非常に親近感を覚える。

彼の歌詞はうわべだけの嘘ではなくて、本当の真理を語ってる歌詞だから胸に刺さる。しょうもないアーティストがよく「君以外愛せない、君がいないと生きていけない」と歌いながら、平気で不倫したり浮気したりしまくる。米津玄師は「いいよ、あなたとならいいよ」「誰でもいいけど君がいいんだよ」つまり、あなたじゃなくてもいいけれど、今はあなたの事を愛したいと歌う。これは矛盾しないし、すごく血の通った人間味を感じる。

彼の詩はもはやただの音楽家の言葉ってより、哲学者とかワンランク上の階層からの言葉って感じがするんだよね。最新曲の『毎日』もCMのサビだけ聴いた人は楽しい感じを想像するかもしれないけど、全編聴くとその印象は大きく変わる。

彼の音楽には必ず弱い立場や、声を上げられない人たちの気持ちを代弁する魂の叫びが込められている気がする。

過去のブログで鬱を抱えてるとも書いてたし、このMVにもそんな感じの描写が出てくる。米津玄師自身もたくさん苦しみを抱えていて、同じ立場やその他の苦しい状況に置かれた人たちの気持ちがよくわかるのだろう。

教養もすごいあるので、そういった痛みやそれに対する祈りが翻って人々に響く力になるとちゃんとわかっているんでしょう。だから自己満足のオナニーみたいな曲を彼は決して書かない。

だから彼の言葉は信用できるし、多くの人の心を震わせるのだと思う。音楽性も、最新曲『毎日』ではアメリカのモータウンビートが使われてたり、チェンソーマン主題歌の『KICKBACK』では最近J-POPではほぼ聞かれないドラムンベースを取り入れたりと、とりあえずシティポップのエモイ感じにしときゃ売れるんだろ(笑)というような浅はかな人たちとは一線を画すサウンドだ。

過去の音楽と現代の音をうまくミックスしてさらにコード進行は結構王道な進行が多いが、狭間に不穏なコードを忍ばせて、それが歌詞とリンクしてたり細部へのこだわりが恐ろしいほど作りこまれてる。

前回のアルバム『STRAY SHEEP』はこの時代に100万枚以上売れ、僕も買ったので2020年のコロナの時の記憶とつよく結びついてる。あれから4年たってもはやコロナの事なんかみんな忘れてるみたいに、ライブも解禁され、日常生活も元に戻った。

数々のタイアップ曲も素晴らしいんだけど、アルバム曲をすごく楽しみにしてる。今の米津玄師が何を考え、どういう曲を編み出すのかが純粋にいつもすごく楽しみなんだ。死神、恥ずかしくってしょうがねえ、ゆめうつつ、PaperFlower、優しい人、décolleté・・とかB面曲、アルバム曲にも素晴らしい曲が多いから、新アルバム『LOST CORNER』が早く聴きたいっす。


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