串岡
ねずみ時計【第18回坊っちゃん文学賞応募作品】 私は定職を捨てた。 大学を卒業してから八年も同じ職場に勤めていた。小さな貿易会社の事務として入社した私は、年月を重ねるたびに社会の一員として「出来上がって」いく同期をよそに、八年経っても野暮ったく会社の隅でぱちぱちと電卓を叩くしがないサラリーマンとして日々を過ごしていた。三十にもなれば同じ歳の者はみな家庭を築き、いわゆる出世と呼ばれる役職の付与とそれに値する給与の上昇に満足し、毎月末には「今日はもう帰って酒盛りだ」と言わんば
日記で綴ったカステラの話 ====== ザラメたっぷりのカステラが好きだ。 茶色い部分に四角いザラメがぎゅうぎゅうに詰まっていて、囓るたびにジャリ、という音を立て、そのあとしゅう、と消えて無くなる砂糖たち。 フワフワのスポンジ部分とのコントラストが楽しくて、思わずもう一つ、と手を伸ばしてしまう。 ザラメがたっぷりのカステラに初めて出会ったのは、私が小学校一年生の時だった。 運動会に両親だけでなく、母親の妹も来ていたようで、お土産にどうぞと福砂屋のカステラをもらったのだっ
先月、今月もとにかくよく服を買った月となった。 買った服など リバースウィーブのパーカー 古着好きなら一着は持っているだろう、チャンピオンのリバースウィーブのスウェットパーカーを今更買った。 いろんな古着屋を回ってもしっくりくるものがなかったのだが、ルミネ新宿の中にあるヴィンテージセレクトショップでバッチリ欲しかったものをゲットした。 △ リバースウィーブ パーカー参考 薄いグレーにえんじ色のカレッジプリントが載っている、Lサイズのパーカー。 ダボっと着ることができる
私が住んでいる街は、東京二十三区内ではあるが、その中でも住宅街しかないような、郊外とあまり変わらないような街である だからなのか、小さい自動車販売所や自動車点検をしている工場が周りに多い 今日、スーパーから重たい荷物を抱えて戻ってくる時に、自動車の整備所の中で洗車機が動いているのが見えた 洗車機のブラシが水しぶきを撒き散らしながらぐるぐると回っているのを見て、なぜかとても懐かしい気持ちになった そういえば、小さいときからガソリンスタンドで車の中に入ったまま、窓から洗車され
私はごはんを食べるのが大好き。 家で作るのもいいし、ちょっと贅沢な惣菜を買って帰るのもいいが、なによりすこしおめかしして外でごはんを食べるのもいいだろう。 たまにごはん屋さんのことを書いていこうと思う。 好きなごはん屋さん一昨年の誕生日に連れて行ってもらったのが、代々木上原の「PATH」だ。 代々木上原周辺にある創作フレンチはいつか行ってみたいと思っていたのだが、運よく予約が取れたということで、少し綺麗な格好をして向かった。 夜の予約はコースしか取れないようで、コースに合
最近買った服、欲しい服、いい感じのスタイリングなどを不定期に残していくことにする。 買った服に関して去年の冬から鮮やかな紫のセーター、ニットが欲しくてフラフラ探していたのだけれど、やっと良さそうなものが見つかった。 ADAM ET ROPE タスマニアウールチュニックニット ラベンダー タスマニアウールとは、オーストラリアのタスマニア島で飼育された希少性の高い最高級ウールらしい。細くて柔らかいそうだが、このニットは割と厚手でシルエットがしっかり保たれるタイプである。 同