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最悪の中、最善の道を与えられた私。

地球上に生れては一瞬のうちに消える何億という生命体の一つに過ぎないけれど、私は、今、生きて年を越そうとしている。

これが奇跡でなくて何だろう。

幼くて病死する者あり、働き盛りに事故死する者あり。今年はコロナであっという間に命を落とした人も。運命と言ってしまえばそれまでだが……。

台湾からの引揚船上、多くの乳幼児が飢餓と赤痢で落命した中、なぜか生き延びた私。今年は大腸癌が発覚(発覚と表現していいかどうかは分からないが)2月に摘出手術を受けた。

ステージ3。危ない瀬戸際だった。小さな診療所で「ただの貧血ではない。癌かも知れない」と即座に大病院に繋いでくれたことが私の命を救った。

これが奇跡でなくて何だろう。

入院するのが後1か月遅かったら、コロナ蔓延で癌の検査も手術も後回しという事態に遭遇するところだった。

抗癌剤の副作用は顔のシミだけですんだ。命に係わる症状の出る人もいるというのに。

野良猫の母子がやってきて、日々、私を慰めた。この親子が強く生きているように、私も強く生きよう、とキャットフードをやりながら毎日思った。

この猫の親子との巡り合いが奇跡でなくて何だろう。

身内にも知り合いにもコロナに罹った人はいない。

これが奇跡でなくて何だろう。

令和二年は私にとって最悪の状況だった。しかし、最悪の中で、考えられる限り最善の道を私は与えられた。

手術成功。長女の帰国。仕事再開。コロナに怯えながらも、生徒も私も今年最後の授業をやりとげた。

神さまへ、運命へ、ありがとう。そして自分自身へ「よく頑張った」とご褒美に、ブルーのセーターを買った。来年は青空へ向かって飛び立とう!そんな夢をこめて輝くブルーを選んだ。いえ、セーターが私を選んで私に向かって飛んできたのだ。

これも奇跡の出会い。

皆さま、今年一年、温かい励まし。ありがとう。そして皆さまにもわたしにも来年は素晴らしい年でありますように。

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