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衣服とアクセサリーで『かさねの色目』

古来、衣装を何枚も重ねて着る風習は在りましたが、平安時代の貴族たちは、その重ねの色の配合、衣の表と裏の色の組み合わせに『命を懸ける』ほどこだわり、センスを競い合いました。
組み合わせの名前を植物にしたのは、植物には永遠の命があると思っていたこと、また、植物を身につけることで邪気(病気)を祓う思いを込めていたのです。

「かさね」には「重ね」と「襲ね」がありますが、ここでは「かさね」に統一しました。写真では色彩がよく分からないでしょうが、想像力で補ってください~
赤いワンピースに白の上着。
赤と白の組み合わせは「桜がさね」という『春』の組み合わせ。身分の高い美貌の若者の「色の組み合わせ」で光源氏がよく着ています。
当時は何事も差別の時代。身分、年齢、美貌で衣装の色・材質・模様が決まっている!『でも美貌には基準がない』と思うのは現代人。当時はそれなりに「ものさし」があったのです!

今、現代の暦では6月。当時は5月(旧暦)です。
悪月(あくつき)といって、疫病は流行る、食べ物は腐る、絹の衣装が雨で傷む、など最悪の月。決して「五月晴れ」というイメージではないのです。
「五月晴れ」という表現は新暦の5月のことです。

今日、私が着ている服の色の組み合わせは「春のかさね」ですから、季節がずれています。センスがないどころではない。貴族失格~です~

ブローチは紫の濃淡の花びらの組み合わせ。
これは『萩がさね』といって秋のかさね。また、白の上着と紫のブローチの組み合わせ、つまり「白の上に紫」も『萩がさね』です。古代の人から見れば紫が微妙に違います。
(このブローチ、ミニチュアちいさんの制作したものなんです。写真では
繊細な美しさを伝えきれずすみません~)
写真ではわかりませんが、ブローチには少し黄色が混じっています。黄色と紫の組み合わせは『移菊』(うつろいぎく)という秋の「かさね」です。
マスクは水色(縹色)と白。『花すすき』という秋の組み合わせです。
 
今朝はワンピースを秋の色(黄色系統)にしたら完ぺきでした!季節を少し先取りした「かさね」は最高にセンスがいいのです~

ざっくりと書きましたが、赤、紫、黄色といっても様々。また重ねる順番でも名前が変わります。
また「かさねの色目」には諸説あり、定説化されていないもののほうが多いのです。
当時の色は残っていませんし、すべて植物で染めていますから、その年年、天候で、紫草も茜草も露草も違う色になるから復元はできないのです。なんとなく雰囲気を想像するしかありません。

「春のかさね」の代表は赤と白。名称は「桜がさね」
「夏のかさね」の代表は紫の濃淡。名称は「藤がさね」
「秋のかさね」の代表は朽葉と黄色。名称は「朽葉がさね」
「冬のかさね」の代表は白のグラデーションで「初雪がさね」

これだけ知っていても、しばし平安貴族になったようで、日常のおしゃれを楽しめます。     終わり


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