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海に沈んだ幼き御霊よ
亡き長兄が遺してくれた小さなリムーバブルディスク。台湾から持ち帰った写真をデータ化したものだ。今まで私は開いてみることはしなかった。何となく気が重かったのだ。
noteに思いがけず参画し、何とか組み写真をアップできるようになった時、何かが私の背中を押した。
私たちの乗った後の引揚船は海原で機雷に触れ沈没、数千人が全員死亡したという。その人たちの存在さえなかったことにして、日本は高度成長を遂げたのだ。
あれから70年以上の歳月が流れた。写真はだれの名誉も傷つけないだろう。悪用されることもないだろう。
海の藻屑と消えた多くの幼子の心を代弁するために公開しよう。私の手もとで朽ち果てさせてはいけない。私が死んだらただのゴミになる。そうであってはならない……
幼き御霊よ
海の底は冷たかろう
鰯の背中に乗って
上がっておいで
海鳥の背中に乗って
空まで昇りたまえ
幼き御霊よ
抱かれたまえ 父の御胸に
抱かれたまえ 母の御胸に
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