【短編】五ノ鹿町観光協会案内係2 (後編)
(2,502文字)
「今度は、何?」
お手洗いから戻ってきた田所は、何か感じ取ったみたいだ。
「犬を捜してくれって……」
「あなた、今度はちゃんと断ったわよね」
「はい。でも先方から一方的に電話切られて……。明日、写真持って、来るそうです。先輩どうしましょう」
「あなたねーっ。どうして、いつもそうなの。私は今年で五年になるけど、そこまで厄介な目に遭ったことは1回もないわよ。まあ確かに月に数件おかしな電話が掛かってくることはあるけど……。あなた、何か憑いているんじゃない?