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花束

薄墨に淀むぬるい部屋
苛烈な紅が宙を裂き
夕暮れ時を告げる音
絡みつく湿度 不安な視界

例えば君がここに居て
僕を見ていてくれるなら……
微笑みかける君の顔
あの頃のまま 今も きっと

絶望色した花束抱いて
かすれた時間を積み上げて
重さをなくした花びらが
はらはら流れてゆくのです

瞼の裏に消えた熱
退屈の味が粘りつき
唾を飲み込む苦い音
悪夢の終わり 亡者の吐息

確かに君はここに居て
僕を見ていてくれるから……
微かな気配に揺れるもの
あの頃のまま 今も ずっと

消えゆく香りを忍ばせて
乾いた花弁に口づけを
静かに眠る灰の葉が
さらさら流れてゆくのです

絶望色した花束抱いて
かすれた時間を積み上げて
想いをなくした花びらは
はらはら流れてゆくのです

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