君の青い車で海へ行こう

横になるってなんて幸せなんだろう。すべての力を抜いても、地面が支えてくれる。1日の疲れをどっと溜め込んだ身体でベッドに寝転ぶ瞬間が最高に幸せだ。疲れが地面に伝わって、広がって、うつっていく。わたしの疲れをすぅっと吸い取ってくれる、ちょうどいい硬さのベッド。1日のなかで美味しいものを食べることの次に幸せな瞬間かもしれない。

そんなことを考えていると、好きな車の乗り心地を思い出した。我ながら、これまで、付き合ったり、好きになったりした人の車はどれも特徴的だったなと思う。長く付き合っていた彼は親のお古のAudiのA4とフォルクスワーゲンのGOLF、学生時代に長く好きだった彼はトヨタのプリウス。そして夫は日産のラシーン。どれも思い出が深い。

車を見る度にちょっとだけ、その人のことを思い出したりする。プリウスに乗っていた彼はいまごろどうしているだろうか。付き合っていなかった割には、結構いろいろなところへ行ったと思う。もはや親友のような存在だった。映画を観に行ったり、スポーツ観戦にも行った。歩きや自転車ではいけないようなところへご飯を食べに行ったり、我慢できずにお酒を飲んで、代行を呼んで、ふたりで後部座席に座ったりもした。可愛い思い出である。

静かに走る水色のプリウスはわたしの青春そのものだなあと思う。

今は、対照的に、燃費も悪くて、クーラーも効かないラシーンに乗っている。ドアのカギはたまに閉まらないし、決していいにおいではない。助手席が好きだったはずのわたしは、いつの間にか運転席にも座っている。でもそれもしっくりきた。

いつかこの車がもう走れなくなった時、わたしたちは泣くのだろう。わたしよりも、夫は泣くのだろう。きっとそうだと思う。

今日もベッドに寝転ぶ瞬間が楽しみだ。
タイトルは大好きなスピッツの曲名から。

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