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暴力先生は普通に優しくて、やっぱり嫌いになれない。

専門学校でのお話。私には忘れたくても忘れられない先生がいます。卒業して一年経つので区切りをつけるために書きます。
先生(以下T先生)は平然と生徒をいじめるひとでしたが、多分人気がある先生でした。

1年次:初めは面白い先生だと思っていた

前期:
T先生の授業は、解説が丁寧でわかりやすかったです。たまにある雑談コーナーや授業中の脱線した話も面白くて笑っていました。小テストは頻繁に行われましたが、普通に授業を聞いていると高得点が取れるようなものでした。
「全部の科目、T先生やってくれたらいいのにね」そんな声が多かったです。
ただ、簡単な問題を間違えると「ここは間違えるところじゃないよな笑」と名指しで公表し、煽って笑いをとろうとすることがありました。あ、この人はいじめの加害者タイプだなと思いました。

後期:
どの授業も内容が難しくなり、やる気がなくなって授業中にさぼりだす学生がでてきました。すると成績が良い人、悪い人同士でグループが生まれました。席も自由だったのでグループは固まっていきます。T先生は好成績のグループには熱心に指導しますが、ほかのグループは放置するようになりました。
そして授業中、成績が良い生徒がゲームをしても「今はやめとけ」と笑って注意するだけなのに、成績が悪い生徒だと当然のように怒鳴り、教科書で頭を殴るようになりました。
「T先生に嫌われたらやばい」「でも普通にいい先生でしょ」「あの先生の授業怖いからいや」
T先生の評判も二分化されていきました。
私はT先生が怖かったので、とにかく勉強を頑張って彼のお気に入りに入ろうと必死でした。

2年次:先生にずっと支配されていた

成績によりクラスが分けられました。T先生は一番成績のいいクラス(Aクラス)を指導することになりました。Aクラスは成績至上主義のクラスでテストの成績や出身校でのマウント合戦ばかりでした。
それも競争意識を高めるため、T先生が扇動していました。

「お前、進学校出てるのにそこ分からない?」
「これミスったらこのクラス落ちるぞ」

教師がこんなことを言うなんて考えもしませんでした。

いつの間にかAクラスはほかのクラスを見下し、ほかのクラスもAクラスはがり勉だ、先生の奴隷だと馬鹿にするようになりました。一年の時は成績なんて関係なく遊んでいたのに、クラスが分けられてから言葉を交わすことも無くなりました。
いま考えると、卒業まで地獄のような環境でした。

「お前らは特別に選ばれたやつらだから」
よくT先生から言われました。褒められることが好きな私はなんだか嬉しかったです。試験の前の「頑張ってこい」も「お前ならできる」も励まされたし、受かった時の「おめでとう」「さすがだな」も本当に嬉しかったんです。その度にいい人だと思いました。

T先生、暴力的でひどかったよね。そう言いたいけれど、
T先生のおかげで受かったようなものだし、すごく熱心に教えてくれたし、ご飯連れてってくれて、そんなに悪い人だったのかな?
怖かったけれど、優しかったし、嫌いじゃないから、
そう単純に嫌い、悪い人だって頭の中で割り切ることができないんです。

いっそのことクラス全員に高圧的で、暴力的なら、最低な人だったって言えるのに中途半端に優しくされたから。いつか、嫌いだって思いたい。それか全部なかったことにして先生のこと忘れたい。

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