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「少子化」をガチで調べて、まとめた

先日このニュースを見た時、初めは「少子化進んでるなあ」くらいにしか思いませんでしたが、よくよく考えてみると、少子化についての知識全く持っていないのでは?ということに気付き、これを気にガチで少子化について勉強しようと思い、調べてきたのでここにまとめます。


1,日本の少子化の現状

まず、下の図※1は日本の出生数の推移をまとめたグラフになります。

最新の2019年の出生数は86.5万人となっており、1973年からずっと日本の出生数は減少傾向にあることが分かります。

そして1人の女性が出産可能な15〜49歳までに産む子供の数の平均を示す「合計特殊出生率」は少子化の具合を見る重要な指数で、2.07〜2.08人あればその国の人口の維持が出来るといわれています(人口置換水準と呼ぶ)。

日本の合計特殊出生率は1925年5.11人、1940年4.12人というかなり高い水準で推移し、戦後の1970年代は2.10人台で推移し、1974年からは人口置換水準の2.08を割り、最新の2019年の合計特殊出生率は1.36人となっています。

ちなみに日本政府の目標数値は1.80ですが、現状目標達成には程遠い結果となっております。


2,少子化の主な原因

大きく分けて2つの原因があります。未婚化と晩婚化です。

未婚化について詳しく見ていくと、日本人の生涯未婚率は1950年時点では男性1.5%、女性1.4%となっており、2015年時点では男性23.4%、女性14.1%と大幅に増加しています。100人中98〜99人が結婚する世界...すげえ

また未婚化が進むということは、お母さんの数が減るということです。つまりは小母化ですね。

1985年時点では、15~39歳の女性で1人以上の子を産んだお母さんは、約1060万人。それが30年後の2015年には、同年齢で497万人まで減少しています。

そして、晩婚化については下記図※2より年々初婚年齢が高くなっているのが分かります。

これら未婚化と晩婚化が進んでいる背景には「子育てしやすい環境の整備の遅れ」や「男女でのキャリアの差」「経済的不安」「結婚、出産に対する価値観の変化」などが挙げられます。

第15回出生動向基本調査によると、結婚の障害で1番多く挙げられたのは「結婚資金」で、男女共に40%強の方が挙げていました。


3.日本が少子化に持つ課題

少子化に対する課題は「子育てしやすい環境をすくるための支援,政策」と「出生数を増やすための支援,政策」に分けて考える必要があります。

子育てをしやすい環境の整備のためには、待機児童問題の解決保育費や教育費の経済的負担の軽減育児休暇取得率の低さの改善などが課題として挙げられます。少子化対策に成功しているデンマークでは男性の育児休暇の取得率は93%で、日本は6.16%(2018年度)で、20年までに13%の政府の目標とはまだ開きがある状態です。

また社会全体が結婚や子育てに対する意識を変えて、彼らを支援する態度を取っていく必要もあります。日本人の出産・妊娠に関する理解の低さは先進国の中でも最低レベルであることがBuntingの2013年の調査で分かっています。

次に、出生数を増やす支援や政策についてですが、子供を持つことにインセンティブを設ける政策と共に、出産を望んでいる人が子供を持てるようにする、不妊治療の助成を充実させる必要があります。

不妊治療に関しても無知だったので、調べてみました。

3.1日本の不妊治療の現状と課題

2015年時点で全体の16.7%、6〜7組に1組の夫婦が不妊治療に臨んでいて、年齢別に見ると、35ー39歳が1番多く39.9%で、次点は40ー44歳で28.8%となっています。(第14回出生動向基本調査より)

また、2010年時点で体外受精で生まれた新生児は全体の約2.7%を占めており、近年増加傾向にあります。

不妊治療には下記のように4ステップあります。()内は一回の費用
1.タイミング指導(5000円) 保険適応内
2.人工授精(1〜5万円)保険適応外
3.体外受精(20〜60万円)保険適応外
4.顕微受精(30〜70万円)保険適応外

日本では2〜4のステップに置いて保険が適応されませんが、治療費の一部を支援する、特定不妊治療助成制度があります

下のグラフは特定不妊治療助成制度の内容と諸外国の不妊治療に対する経済的支援をまとめた表になります。

この中のフランスは少子化対策に成功した国として有名です。フランスの合計特殊出生率は2006年に30年振りに2.00まで回復させることに成功しました。現在は再び減少傾向になっていますが依然高い水準を維持しており、2018年1.88、2019年1.87となっています。

ただ、フランスの出生率増加には外国人の影響が大きく、父母どちらかが外国人である新生児の割合は約25%を占めています。日本でその割合は2%ほどとなっています。

日本が持つ不妊治療の課題としては、不妊治療を保険の適応対象にするかどうかを考える必要があります。また先程も書いたように日本人の出産・妊娠に関する理解の低さは先進国の中でも最低レベルとなっているので、学校教育の過程にこれらを学ぶ機会を設けることも必要になるかもしれません。

文化や価値観の違いがあるので、一概に日本が参考にできるものではありませんが、下図を見て分かる通り、少子化対策に成功している諸外国は総じて「家族」や「積極的労働市場政策」「失業」の分野への社会保障が手厚いです。

これらの社会保障が充実しているおかげで、若い世代の人々が結婚や子育てしやすい社会のシステムを作れているのかなと思います。日本はそれらに当てる予算が少なすぎる気がします。

4.感想

日本のは長年少子化対策に取り組んでいますが、なかなか成果が出ていないとういうのが現状。

結婚して子供を持って一緒に過ごすという以前はごく当たり前だったものが、経済成長を経た今将来への不安(金銭など)で結婚や子供を持つことを諦める人がいるのならば、国はそれに対応、対策を打つべきだと思います。

もちろん今の日本政府が何もしていないという訳ではないのですが、正直今回調べるまで知らなかったことが沢山で、そこまで印象強い効果的な政策を打てている訳ではないのかなと...

え、そこまでにやる必要ある?!と思わせるくらいに大袈裟な政策を打ち出さなければ、日本の少子化に歯止めは効かないような気がします。

その勇気が日本にあるか、そしてそれを受け入れられるマインドセットが日本人にあるのか、これからも注視していきたいです。


参考資料

※1※2ガベージニュースhttp://www.garbagenews.net/archives/2013423.html

内閣府https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_1_6.html

PRESIDENT Onlinehttps://president.jp/articles/-/35589一

橋大学 国際・公共政策大学院
https://www.ipp.hit-u.ac.jp/consultingproject/2014/CP14Shibata.pdf

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