TORATANU THE GREAT PARTY 2022 データから学ぶ話3/3 ~勝つために~
「勝つために」を軸に進むコラム、最終回となる第3回は得点を加算しやすいカードを3枚深掘りする。強弱で大分類した場合、大半のプレイヤーが弱の方に分類しそうなカードから3枚厳選した。
最終回にそんなカードを紹介する事は魅力に欠けるだろうかと脳内会議に少々時間を要したが、マニアな読者にはこれくらいが丁度いいという結論が出た。
というのも、勝つために必要な事を述べる上で、カード理解を深めるという点に触れないわけにはいかなかった。
勝つために必要なのは何か。
大会のような限定的な場面では運の比重はどうしても大きくなるが、1番必要なものは【実力】だ。
では実力があるプレイヤーとは何か。
それは、【理解している】プレイヤーであると思う。
理解しているとはひとことで表すことは難しいし、これを詳細に解説してしまっては面白みに欠けてしまうと思うのであえて割愛するが、その中の1つであるカード効果の認識については少々触れてもいいだろう。そう判断した。
第1回、第2回に比べて少々文量が多くなってしまったがご容赦願いたい。
また、動物をカードと称するのは少々愛に欠けるので、本題内ではカードは動物と置き換えて表記する。
奥に隠れる少女
1つ目はシマリスだ。
序盤に捨てる動物ランキングで5本の指には入るだろう。
群レになっても効果がないのでなんとも喜び難く、2枚持っている時には(捕獲しても最後に逃がしても点数変わらないじゃないか…)と余計な考え事をさせてくれる動物だ。
しかし、この動物を弱いと形容することは似つかわしくない。愛くるしい彼女は確実な【10点】をプレイヤーにもたらす。どんな時にも奪われないし消されない。奪われ、解散されることが日常茶飯事のトラタヌにおいて確実に加点できるというのはそれだけで価値がある。
シマリスの真骨頂は手札に関係なく加点するという点にある。
筆者は、シマリスを10ターン目に逃がした時には4列目が作れたという感覚でいる。
シマリスによる加点は手札の構築を大きく歪めることなくゲーム進行した上での実現が可能で、かつ、10ターン目に逃がそうとシマリスを持ち続けたしことが原因で3列目がセット不成立になってしまったとしても、4列目の彼女が10点分持ってくるので大差ない。
むしろ上振れた時には全列セット成立+10点が達成できる訳だからポジティブに捉えた方が建設的なように思う。
このように考えてみるとシマリスの評価が変わる人がいるのではないかと筆者は考える。
弱いとは言えない。強いとも…言えないが。
とはいえ、彼女を大切にできないプレイヤーが強いプレイヤーであるとは言えないだろうことは確かだ。
名脇役
2枚目はカメレオンだ。
クラシックに比べ群レ効果が強力になった新トラタヌで、群レ効果を持っていないというのは最早デメリットと言っても差し支えない。
追い打ちをかけるように、新トラタヌでは収録枚数が4枚から3枚になった事でドウブツエンの可能性を失った。
【フルカラーが成立する】の1文が追加されたことでフルカラーという新たな就職先を見つけはしたものの、過去に“手札にとりあえずいて嬉しい便利屋”として真ん中やや上あたりのポジションを維持していた姿は新トラタヌにはないのが悲しい現実だ。
しかしシマリス同様決して弱くはない。カメレオンは至ってシンプルだ。
1枚なら10点くらい、2枚なら20点くらい、3枚なら40点になる動物と捉えてもらえればいい。
2枚手札にある時はスペシャルの色に合わせる事で6+6+5が担保され、ほぼ20点が確約している。オオカミの遠吠えが聞こえたら捕獲を、ゴリラの歩みを見つけたら色セットをつくればいいという柔軟性は他の動物では持ち得ない魅力だ。
群レになった時は効果こそないものの40点という少なくない加点。効果が無く映えない為過小評価されがちだが、群レ点20点族は大体出力が35点で設計されているので、上振れない場合はその出力に勝っている。
過去より地位は下がったかもしれないが、未だ現役である。
ここで割と知られていない小ネタを1つ。
カメレオン・ラグドールは「好きな色に変化する」のであって、「列の他の色と同じになる」ではない。その為、得点計算時にオオカミが見えた時、色セットが成立しない色を宣言することで奪われることを回避することが出来る。予め崩してしまった方が良い場面は意外と少なくない。次のトラタヌで活用してみてはいかがだろうか。
とはいえ、カメレオンはもう主役になる事はかなり難しいだろう。
だが作品は主役だけでは成立しないし、主役が複数いてはまとまりがない。
名脇役が周りを固めてくれるからこそ、勝利という作品は完成するのだ。
数多の戦いを乗り越えた老兵カメレオンは、いぶし銀の輝きを放つ引き立て役になったのだ。
もしもの保険
最後に紹介するのはパンダだ。この動物の過小評価を変えたいがために動物紹介をしていると思われても悪くは思わない。
パンダは、群レ点20族の中ではニワトリやウサギの汎用性には一歩届かず、群レ効果はクマ・オオカミの的になりやすいことから手放しで優秀とは評価がつけ難い。
大会においても、かなりの場面で3~5巡目辺りの序盤に逃げていたのを記憶している。
だが私は断言する。
この動物は “弱くはない”ではない。“優れている”と。
パンダは単体スペックで見ると並だが、オランウータン・チンチラ・ブルドック・ラグドールの4枚、いずれも手札構築の軸になるエースたちと非常に親和性が高い。
もったいぶる必要もないので単刀直入に言うが、【色が黒である】という個性が他の動物と一線を画す魅力を有している。
オランウータンとチンチラが手札にある時に“肝心なもう1枚”がどこにも現れず、悲惨な目にあった時、残りの手札にパンダが2枚いたならばそのケースを黒色セット13点のプランBに変更することができる。
オランウータン・チンチラの両脇に、彼はすっぽり収まる。
0~50overのレンジで見る得点が、13~50overになる事の変化はあまりに大きい。
ブルドック採用時もパンダがいれば一安心。ブルドックの得点上昇効果を適用させつつ、貧弱な基盤の列であったはずのブルドックが収まる列を最大23点の色セット列まで昇華させる。
何かの拍子でパンダが群レになり、更にブルドックを上手く活用できたときには火力十分。
想像するだけでいい気分だ。
ラグドールとの相性は群レ効果との相性は言わずもがな。パンダが色点5点と高水準な事も高相性の後押しをしている。2枚いれば得点レンジは30以上確約の高打点だ。
想像に難くないこの2枚の相性に関して多くを語る必要はないだろう。
以上の様に、【悲惨な状況を免れることができる】効果を持っている。
少なくとも、いつか引くかもしれないエースたちの可能性を考慮すると、早々に逃がされていい動物だとは思えない。
パンダ保険、加入してはどうだろうか。
おわりに
最後なので自分らしい話し言葉で。
3回に渡り見ていただいて本当にありがとうございました。
長かったなぁ。
まぁなんともマニアックな…(笑)と思いながら書き続けました。
書きながら、私自身勉強になりました。運営になったら大会参加できないジレンマは未だありますが、このように見てもらえる側になれるんだと思えば悪くないですね。
決勝でのD氏の喜びとY氏の悔しそうな表情は未だに思い出せますし、そんな景色を描いた黒澤さんは素敵だなと改めて思います。
まだ先の事は知りませんがまた大会のようなイベントが行われるならもう少し詳細にデータを取って、還元できればとも妄想しています。
コラム自体も、3回と言わず決勝卓のプレイングの所感やらプレイヤーにフォーカスした動きの特徴なんかも書こうかと考えはしたのですが、余白があるのも粋じゃねぇかなと。
このコラムがきっかけでより奥深いトラタヌライフが送れるなら冥利に尽きます。
それでは皆さん、またどこかで。
FIN
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