見出し画像

さよならシャボン(28) 起きない梟

Story : Espresso  /  Illustration : Yuki Kurosawa

ああ、また太陽が昇ってしまった。

枝に留まりつつ、眩しさに僕は目を細める。

夜のうちに狩りをしてご飯を食べておかないといけないのに、僕はいつも寝過ごしてしまう。

夜目の効かない獲物を真っ暗な内に仕留めないといけないというのに、どうにも僕は夜に起きられない。

今日も目が覚めた時点で遠くの空は明るくなり始めていた。

もう何日もご飯を食べていないけれど、太陽が昇ってしまっている。

翼を広げて、陽の光を一杯に浴びるのはなんとも心地良いけれど、昼間では僕の身体は目立ち過ぎると言われたっけ。

最近、仲間の何人かがやられた話も聞いている

『次は時間に無頓着なお前だ』

なんてことも言われたけど、別に好きで寝坊している訳じゃない。

そもそも、やこうせい、ってなんなんだ。

人間が口にしていた言葉を知ったかぶって使うのは好きじゃない。

好きな時間に飛んで、好きな時間に寝てなにが悪いんだ。

それに、僕はどちらかといえば太陽が出ている時間の方が向いている気がする。

何度か昼間にご飯を探して飛んだけれど、太陽を背中に受けながら飛ぶのは心地良い。

…仲間にはめちゃくちゃ怒られたけど。

ああ、思い出したら飛びたくなってきちゃった。

空腹も限界だし、さっと飛んで何か捕まえれば大丈夫だよね。

息を吸い込んで、大きく翅に力を入れて込めて羽ばたく。

やっぱり太陽を背中に飛ぶのは気持ちいい。


都合良く獲物を見つけた。

木々の上を飛び、獲物を見定めた梟は急降下。

同時、小さな破裂音。

一瞬遅れ、近くの木々から一斉に飛び立つ音が響いた。

***

•さよならシャボンチームからのお知らせ
 えすぷれっそさんが活動再開したということで、また不定期に連載を再開することとなりました。それに伴って、メインビジュアル等のリニューアルも行っております。
 次の目標としては、今までの作品をまとめた文庫本を作って自分たちだけで遊ぼうと思います。本年もよろしくお願いいたします。


いつもサポートありがとうございます。 面白いものを作ったり、長く履ける靴下を買ったりするのに使わせていただきます。