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さよならシャボン(31) like like like

Story : Espresso
Illustration : Yuki Kurosawa


本当にこれが好きなんだろうか

それは突然だ、自分が今まで愛してやまなかった筈のそれがなんだか色褪せて見えてしまった。

一度疑ってしまうとそれはもう止めようがなくなって、至る所に亀裂が走っていく。

『好き』に無数の亀裂がはいり、がらがらと音を立てて剥がれ落ちていく。

そこから出てくるものは執着?飽き?それとも、本当に好き?

〇〇が好き!

言うのは簡単だ、簡単だけれど、それを言い続けるのは簡単じゃない。

何かを好きであり続けるのも才能なんじゃないだろうか?

好きなものを無条件で好きなままで有り続けるのって簡単なようで難しい。

好きでいる時間が長くなれば長くなるほど、好きなものの好きなところだけじゃなくて、余計なところまで目がいく。

自分の好きってなんなのか、考えて考えて考えてかんがえて…その迷路に迷い込んだら最後、出られるまでそれは好きって言えなくなる。

好きなものなのに、自分を迷わせる、苦しませるものになって、その迷路から出た頃には興味がなくなっていたり、嫌いになっているかもしれない。

それなら迷路に入らなければいいんだけれど、もう一人の自分が誘い込んでくるもんだからタチが悪い。

だから自分を騙しておこう、好きなものを好きなままであるために。

話しかけてくるもう一人の自分の言葉を無視する為に、盲人になろう、聾者になろう。

余計なことに気が付かないようにする、楽しい愉しい樂しいたのしい。

好きなんて感情は如何にそれに狂えるか。

正気に戻ったら負けだ、気が付かないフリをしろ、狂え狂え、狂ってしまえ。

理性なんて頭で考えるな。

狂人になろう、狂人になろう。

***

「さよならシャボン」チーム


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