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【詩】嵐の前

本当なら
途切れていたはず

嘘吐きの毒が身体へまわる
燃える火星を見上げる

星座の糸は
プラチナブロンドを真似た
レプリカのナイロン
天を裏返すと
不器用に玉結びが点在して
そこでまた
新たな星座が生まれる

どこで間違ってしまったのだろう
あなたは

今となっては思い出せない
いくつもの分岐点があって
その都度この顛末への選択を
あなたも私もしてきてしまった

沈み始めた気持ちが
何かを溶かし始めている

夕闇と電灯と群がる蛾

ぬるい風が髪を煽る

未来とはなんだったか
思い描かずとも
やってくるのだったか
憧れも希望も薄まった胸にさえ
それはやってくるのだったか

時が流れれば
その時点の今を
未来と呼べるだろうか
今この瞬間でさえも
昨日の未来と呼べるだろうか

遠くの東の空を
稲妻が時折青くする

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