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【詩】こぼれる薄紅

まだやさしく微笑まれたことのないあたしは
切り取り線の向こうでたたずむばかり
甘みが足りない
言葉も態度も

毛布にくるまって
声を思い出すなんて

華やかな情熱に焦がれて
走り続けた日々にさようならをして

今日もまたネイルがうまく塗れない

恋しい人、と
声に出せば部屋が薄くきしむ
ベッドからため息とともに抜けて
床に散らばったあなたの名前を拾いあつめる
甘味な声で
甘味な味の
薄紅の想いよ届け

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