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夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)ー歴代優勝校の分析 〜その2〜

前回の分析につづき、夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)の歴代優勝校の戦績についての分析である。前回の分析では歴代優勝校の過去4年間の甲子園出場履歴に絞って解析を行った。

ここで気になるのが、甲子園出場履歴だけでなく、甲子園での成績を解析したらどうなるのだろうか?、という点である。
では早速、結果を見ていこう。

まず、直近の春の大会(選抜高校野球)の成績である。
前回の解析で1977年以降の優勝校45校中24校が選抜大会に出場しているという結果が出ていた。
そして、以下が実際の甲子園での成績である。
出場       24/45(53%)
ベスト8以上   15/45(33%)
ベスト4以上   9/45 (20%)
決勝戦進出    7/45 (16%)
優勝       6/45 (13%)

ちなみに1977年以降、春夏連覇は以下の6校である。
第61回(1979年) 箕島(和歌山)
第69回(1987年) PL学園 (大阪)
第80回(1998年) 横浜(神奈川)
第92回(2010年) 興南(沖縄)
第94回(2012年) 大阪桐蔭(大阪)
第100回(2018年)大阪桐蔭(大阪)

当然成績が上位になる程、割合は減るわけだが、対象校数を考えると春の優勝校の夏の優勝確率はとんでもなく高い。選抜出場校が32校だとすると単純な優勝確率は下記のようになる。
出場       1.7%
ベスト8以上   4.2%
ベスト4以上   5.0%
決勝戦進出    7.8%
優勝       13.3%
つまり、春の出場校全体でいうと夏の優勝確率は1.7%しかないが、ベスト8以上でその確率はぐっとあがり、さらに春の優勝校となると8校に1校以上の割合で夏も優勝する。戦力分析は、春の選抜出場校、それもベスト8以上を軸とするべきである。

同様の解析を過去4年間に遡って行うと以下のようになる。

合計のところは被りを除いた校数である。確率は対象校の被りを考慮していないため、実際には全体的にもう少し高くなるはずである。
夏の優勝校44/45校(98%)の学校が過去4年以内に甲子園出場を果たしていたと前回の解析で判明したが、過去4年でベスト8以上としてしまうと割合は35/45校(77.8%)とロスが増えてしまう結果となった。ただ、対象校数自体は絞られているため、確率自体は過去4年の出場校全体から予測した場合の0.3%よりも高くなっている。確率は延べの校数でざっくり計算しているため実際にはもっと高くなるが、ベスト8以上に絞った場合の確率を出場校全体の確率が越えることはないので、上位進出を条件に加えることは候補校の絞り込みには有効である。

過去4年以内に上位進出を果たしているような学校は、目標が甲子園出場ではなく全国大会優勝である可能性が高く、コンディショニング調整やモチベーションの点で優っているのではないかと推測される。一方で、長年甲子園から遠ざかっているような学校は、甲子園出場に対する満足度が高く、全国大会でのモチベーションの維持できていないのではないかと感じる。そのあたりが、98%の優勝校が過去4年以内に甲子園出場を果たしている所以であろう。

興味深いことに前年の選手権での上位進出校の優勝確率だけが明らかに低いのである。これは、1)新チームの始動が遅れた、2)前世代のチームの完成度(前世代での優勝)を優先したために下級生のレギュラーが少なかった、ことなどが考えられる。他に、監督やチーム関係者や選手に優勝へのモチベーションが不足してしまうからといった精神的なものかもしれない。いずれにせよ、夏の大会で上位進出した学校が次の年に優勝を成し遂げるのは非常に難しいことなのである。
連覇を達成したのは1977年以降だと、2004年・2005年の駒大苫小牧だけという点からもその難易度の高さが窺い知れる。
他にはKKコンビのいた1985年のPL学園が準優勝の翌年に優勝、2000年の智弁和歌山がベスト4の翌年に優勝しているだけである。1985年のPL学園は前年からの主力が残り、優勝へのモチベーションが高かったことは想像に難くないし、春の選抜でもベスト4と安定した成績を残している。2000年の智弁和歌山は6試合で11本塁打、100安打と猛打で圧倒した年である。山野や竹内、池辺など下級生から活躍していた選手が主力となった年で、同年の選抜大会でも準優勝している。2005年の駒大苫小牧は当時2年生で背番号11 の田中将大がブレイクした時であるが、評価が難しい年でもある。2004年の主戦は岩田と鈴木であり、翌年の主戦投手となる松橋と吉岡はベンチ入りはしているもののほとんど投げていない。野手では林、五十嵐が残ったが、主力は3年生であった。ただ、選抜には2回戦敗退ではあるものの出場しているところに、戦力の充実度は表れているとはいえるだろう。いずれにせよ、前年の夏に上位進出を果たした学校に関しては、選抜に出場できたかどうかが試金石になるのであろう。

夏の甲子園は強豪校が勝つとみんなが漠然と考えており、実際に夏の優勝校のほとんどは過去4年以内に甲子園出場を果たしているが、実は9/45校は過去4年以内に甲子園で上位進出を果たしていないのである。この点についてはまた次回以降で解析・考察していきたい。

なお、第89回大会(2007年)の佐賀北だけは、どう戦績をこねくり回しても優勝予想に入れることはできないことが判明している。それだけ、あの佐賀北の優勝はミラクルなことだったのである。こういう大番狂せがあるのも高校野球の醍醐味である。

以下で、過去4年間の甲子園での成績をリスト化したものを公開している。

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