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夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)ー歴代優勝校の分析 〜その1〜

日本の夏の風物詩といえば、夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)である。
高校生たちが一発勝負のトーナメントに全てを賭け、必死にプレーする様、敗北への涙、そして勝利に歓喜・涙する姿に全国のおじさんたちは感動を覚えるのである。
私もそんな高校野球ファンのおじさんの一人であり、甲子園や地方大会の観戦はもちろん、高校野球関連の雑誌、ウェブサイトにはじまり、果ては中学野球、少年野球に関するサイトや5chを徘徊して有力選手の進路先を調べたりするなど情報を追っかけているオタクの一人でもある。

そんな高校野球ファン・オタクたちはどこそこに有力な投手や選手がいるなどと戦力を分析し、今年の優勝候補はここだろう、とあれやこれや居酒屋トークをして盛り上がるのもまた常である。特定の高校に対する5chの板では練習試合の結果が投稿され、控えのだれそれが強豪校相手に好投した、1年生投手が145キロを記録した、主砲がホームランを打った、のだとかさまざまな情報が飛び交い、それをもとにオタクたちは必死に情報を整理し、戦力を分析して優勝校を絞っていくのである。

今回はそんな戦力分析とかなしで、かなりの精度で優勝校を絞る条件について書いておこうと思う。
ここでは、桜美林が初出場初優勝した第58回大会(1976年)以降、つまり第59回大会から第104回大会までの45校の優勝校(第102回大会はコロナで中止)について見ていく。

まず45校の中で前年の選手権大会と同年の選抜大会の成績を見ていこう。
ここで前年の選手権大会と同年の選抜大会を条件にしたのは、主力が夏の選手権大会を前に夏の甲子園の土を踏んだ経験、あるいは、同年の選抜大会についてはダイレクトにその年の戦力の指標となるためである。
コロナ禍で前年の選手権大会と同年の選抜大会が中止となった第103回大会(2021年)の智弁和歌山を除く44校のうち、なんと33校が前年の選手権大会か同年の選抜大会で甲子園出場を果たしているのである。割合にして75%である。全国に4000校近くある出場校のうち、前年の選手権大会と同年の選抜大会に出場している~70校が優勝する確率が3/4もあるのだ。内訳でいうと前年選手権出場校が17校、同年選抜出場校が24校である。選抜出場校数の少なさを考えると、同年の選抜出場校の優先度合の高さが分かる。ちなみに上記の数字から自明だが、この中で3季連続出場を果たしているのは8校と実はそれほど多くない。このことから3季連続出場していることは条件としては優先度が低いのだが、3季連続出場校だけに絞った場合とそれ以外で優勝確率がどう変わるかは興味深いところである。

【過去の甲子園出場校については高野連(https://www.jhbf.or.jp/)他いくつかのサイトで見れるので、興味のある方はご自身でご確認ください。サイトによっては戦績やスコアまで残っています。】

というわけで、前年の選手権大会と同年の選抜大会で甲子園出場を果たしている高校の中でさらなる戦力分析を行えば、地方大会が始まるのを待たずして、かなりの精度で優勝校をあてることができるのである。おしまい。
としても良いのだけれど、以降ではもっと遡って甲子園出場履歴について検討していきたいと思う。

強豪校は有力中学生をスカウトしてくるわけだが、そのスカウト時期近辺の実績というのも、数年後の戦力にきいてくることが予想される。
スカウト合戦になる有力な中学生の進路が決まるのは中学2年生の後半から中学3年生の春だと言われている。というわけで、高校3年生世代が進路を決定する際に重要になる成績というのは、その4年前の選手権大会、あるいは3年前の選抜大会となるはずである。ただ、セレクションで入ってくる選手や中学の最後の夏で伸びてくる選手が高校で主力になる可能性もあるので、3年前の選手権大会もここでは考慮に入れることにする。
これらの比較対照として3年前の選抜大会から2年前の選抜大会までの3回の出場実績も用いてみる。なお、選手権大会と比較して選抜大会の方が出場校が少ないため、確率としては選抜大会の方が低くなるのは順当である。
というわけで結果をみてみよう。

4年前選手権   17/45校(38%)
3年前選抜    10/45校(22%)
3年前選手権   18/45校(40%)
2年前選抜    18/45校(40%)
2年前選手権   19/45校(42%)
前年選抜     20/45校(44%)
前年選手権    17/44校(38%)
同年選抜     24/45校(53%)

甲子園優勝校というのが過去4年間でいかに甲子園に出場しているのかということが分かる結果である。過去4年間に出場がなく優勝を果たしたのは第89回大会(2007年)の佐賀北ただ一校である。つまり98%の優勝校は過去4年以内に甲子園に出場しているのである。
3年前の選手権は他と大きな差はなく、直前の甲子園出場実績が中学生の進路先の最終決定に影響を与えているか否かはこれだけでは判別できない。実際には、直近の甲子園出場実績だけではなく、新監督就任や大学や社会人の進学実績も含めて判断されているのであろう。
特にその世代での戦力がそのまま反映される同年選抜の優先度が高いこともわかる。

ちなみに一番確率の高い同年選抜に加えて、どの大会での甲子園出場実績を条件に加えるとより精度が上がるかを比較したものが以下である。

4年前選手権   31/45校(69%)
3年前選抜    28/45校(62%)
3年前選手権   32/45校(71%)
2年前選抜    31/45校(69%)
2年前選手権   32/45校(71%)
前年選抜     35/45校(78%)
前年選手権    33/44校(75%)

実は意外なことに、前年選抜なのである。選抜出場校は基本的に32校しかいない上に、21世紀枠もあり、実質的には50校ぐらいからの予想になるはずなのに、78%も含まれているのは驚きである。
というわけで、過去の甲子園出場実績からみる全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)の優勝校分析はここでおしまいである。

ここから、甲子園で通用する投手を複数用意できているか、打線は活発か(最近の夏の甲子園ではバント+単打の昔ながらの公立高校野球では最後まで勝ち上がれない)を含めた戦力分析をしていけば、地方大会の開幕前でも5-10校を予想に上げることで50%以上の確率で優勝校を当てられるのではないかと思う。

甲子園での過去の実績をもとにした分析を引き続き行っているので、興味のある方は下記へ。

おまけとして、以下で実際のリストを貼っておきます。


間違い等があれば修正しますので、ご指摘、コメント等お待ちしております。

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