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3行日記(曇る、食品模型、まつりちゃん)

七月十三日(木)、ずっと雨、時折激しい雨。
小暑、蓮始開、はすはじめてひらく。

外はむっとしているが、電車のなかは冷凍庫のように寒い。かばんのなかに常備している長袖のシャツを取り出して、ポンチョのように羽織ってしのぐ。最寄り駅に着いた。やっと身体が温まるとほっとした瞬間、前が霞んで見えなくなる。キンキンに冷えた眼鏡のレンズが曇ってしまった。

住んでいる街を代表する老舗の喫茶店が、ひと月ほど前に突然、当面の間、臨時休業させていただくこととしました、との貼り紙とともに閉じた。その数日後、並んでいた食品模型が、ひとつ残らず消えてしまった。もう再開されないかもしれないと、前を通るたびに空のショーウィンドウを眺めていたのだが、きょうの夕方、食品模型が戻っているではないか! 中をのぞくと、数人の店員さんが何やら作業をしている。詳しいことはわからないが、期待してしまう。

夜、チャックの散歩、まつりちゃんとすれ違うも、吠えられる。いつもは乳母車に乗って散歩するスタイルなのだが、きょうは自分で歩いていた。やかましい色に光る首輪をつけて。帰り際、きょうも鶏皮をもらえると期待したのか、大きく見開いた目で見上げられる。毎日はあげないよ。

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