見出し画像

3行日記 #141(矯正、古い自転車、砂かけ祭)

二月十一日(日)、くもり時々晴れ

起床、冬至をすぎて太陽の軌道が戻り、またビックリマークらしき光がではじめる。まだ形は整っていないけど。

朝、フレンチトースト、ブリトー、粉ふきいも、まさえさんの千枚漬け、バナナ。粉ふきいもが喉につまり、うっ、てなる。まさえさんの、最後だから心して食べてね。ブリトー、パンがラスト一枚のとき、出現しがちやねん。パピロンの姿勢が傾いてきたので、隣の枝と太い輪ゴムでぐるぐる巻きにされ、矯正されている。

午前、奈良県立美術館で不染鉄の展示を観る。

嶌かげに消える東京行の汽船を見て泣きそうになった事なぞ覺えております
骨へんに豊で、體(からだ)
冬は田にも小川に氷が張り大根なぞ軒にさがります。春は林に木の芽が匂ひ空にひばりなぞさへずります。
いなごの飛ぶ田の道や落葉のがさがさ言ふ林の道を竹の枝なぞ持って散歩する事ぞあると思って下さい。
やがて霜柱の立つ冬がくる事でしょう。やぶにからすうりが赤く、裏の柿が赤く夕方から虫の声がいえをとりまきます。お湯に浸りながら、百舌鳥の鳴くのをきく事なぞあります。
遠からぬ秋篠川と言ふ小川に釣に行きます。枯あしのそよぐあたり落葉の上に座って静に釣をたれます。一心にうきを見つめながら時々煙草なぞ吸ふ事もあると思って下さい。
春さき柳の芽ぐむ頃、新緑から若葉の頃、野ばらの白い花の散る頃など、御話しはつきませむ。
今年はお米が大豊作で見渡す限り稲の波です。
こうして描いているうちに実際の景色と地理のようなものにとらわれてきて、固苦しくなってきます。再び自由に空想から空想と歩き廻る事にしましょう。
寫生の力が不足でよく書けません。昨日の夕方からかき始めて、今十一月六日の十七時です。こんなに描いてみてから又此場所を見て歩いたら、きっと面白いと思います。早速行ってみたい。出来ました画はこんなですが、かいてる時はとても面白くて時のたつのを忘れて、それからそれと書きました。
あららあんなとこにりんどうがさいている
古い自転車。
いてふ寺とも言ひお化けいてふとも言う。十人で手をつなぐ大きな木である。秋、葉の落ちる時分は地面が見えなくなり、屋根もにわも落葉で一パイ。風の日は芝居の雪のように降る。

不染鉄

昼、JR奈良駅までの商店街にあるパン屋でいろいろ。

午後、法隆寺の駅から歩いて廣瀬大社へ。途中の川の堤防で、梅が満開だった。香りが流れてきた。砂かけ祭。砂を浴びるので皆、雨合羽、水中メガネ、マスクなどを着込んで守りを固めているのだが、ひとり、スーパーのビニール袋を頭からすっぽりかぶり、目のところだけ破ってそこから眼鏡をだしているおばちゃんがいた。神事がはじまる。境内にはあらかじめ砂が撒かれていて、中心には竹と縄で神事をおこなう場所が整えられていた。そこへ白装束の男が現れ、手には鍬を持っている。鍬の歯を地面にあてて準備が整う。男が道具を鋤に持ちかえると、地面の砂を掬って空中に飛ばす。妻はまだ水中メガネをしておらず準備が追いついてなかったのだが、そこへ砂の塊が直撃した。少し痛い。私たちも砂を掬って球をつくって、やり返した。松葉と餅をお土産にもらった。帰りも歩く。堤防にライオンとパンダの遊具があった。川が少しどぶのにおいがしたのを、妻が感じた。私はなにも感じなかった。

夜、ピーマンの肉詰め、手づくりプリン、伊予柑。チャックの散歩、左右左、京阪の踏切をまたいで、図書館で本を返し、区役所をかすめて南へ。公園を通り抜けるも、出たところで再び前の通りに戻る。商店街を抜けて帰宅。家の前で駐車場のほうへ行きたそうにしていたので、連れて行くと、葉っぱを食べた。妻がサラミとチーズで惣菜パンをつくっている。

#3行日記

この記事が参加している募集

散歩日記

3行日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?