事業がぐんぐん伸びる、グローバル化の捉え方(第3回/全8回)
(2020年2月12日掲載、https://kuroshiohr.com/2383/より転載)
<包囲戦>と<各個撃破>のグローバル化(1/2)
前回のブログで、時代IIIの今現在、どのような「グローバル化」を選ぶかは、企業自身が選択すべきであると書きました。
選択肢をざくっと言ってしまえば、次の3つ;
多角市場の時代IIIは、たくさんの市場があるから;
・全市場で通じる商品・事業モデルで勝負するのが<包囲戦>
・それぞれの市場に最適な商品・事業モデルで勝負するのが<各個撃破>
今日のブログでは、時代IIのグローバル化との比較を通じながら、<包囲戦>と<各個撃破>それぞれのグローバル化をより深く考えていきたいと思います。
組織作りの力点
時代IIの組織体制は、先進国市場に本社を置き、そのニーズをしっかり掴みながら、製造拠点と物流網にトップダウンで指令を出していく体制です。
端的にその特徴をまとめれば;
・中央集権化
・拠点間連携
この中央集権化の部分をさらに強化するのが、<包囲戦>のグローバル化。
強化する方法は、ビッグデータとAI。
世界中のあらゆるデータが自然に集まる仕組みを作る必要があります。
これを早い段階でビジネスとして成立させたのが、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)だと思います。
消費者の検索行動、購買行動、物と資金の流れが、すべて中央に自然と集まることで、世界のあらゆる市場で通用する事業モデル、商品、サービスを考えることができる。
GAFAと同じように、データが自然に集まる仕組みを作り、<包囲戦>のグローバル化を目指すのは一つの戦略です。
しかし、データが自然に集まる仕組みがないにも関わらず、<包囲戦>――中央集権化の強化を推し進めようとしている企業が多い気がします。
日系企業だけでなく、欧米企業も、新興国企業も。
でもおそらく、いつかはデータ量の差で負けてしまう可能性が高い。
そのような企業が目指すべきは、時代IIのグローバル化のもう一つの特徴、「拠点間連携」の強化にあると思います。
これが、<各個撃破>のグローバル化の肝でもあります。
<各個撃破>では、各国市場の(販売)拠点は、その市場に最適な商品とマーケットコミュニケーションを考えていきます。
その上で、例えば次のような拠点間のコミュニケーションと協業が重要になります;
・拠点Wがやりたい事業のアイデア、作りたい商品に必要な技術を、他の(製造)拠点からすぐに探し出せるコミュニケーションと協業
・拠点Xで生まれた良いプラクティスを、すぐに横展開できるコミュニケーションと協業
・拠点YのAというアイデアを、別の拠点ZのBというアイデアとすぐに結び付けて、より強い商品や事業モデルを作れるコミュニケーションと協業
これらコミュニケーションと協業の深化が、<各個撃破>をどれだけうまく進められるかのカギになります。
時代IIの拠点間連携は、通常は本社を経由するものです。
しかし、<各個撃破>のコミュニケーションと協業の深化においては、本社を経由することが最大の邪魔になります。
「拠点A⇔拠点B」のコミュニケーションに比べ、「拠点A⇔本社⇔拠点B」のほうが明らかに時間がかかるし、伝言ゲームで情報の精度も落ちます。
ただ、これは本社が知らなくて良いということではなく。
本社を経由させなくても、本社へ逐一報告報告しなくても、本社がモニタリングできる仕組みを作りましょうということです。
その上で本社は、各国拠点が勝手にやることを咎める時代IIから、勝手にやらないことを咎めるマインドチェンジが必要だと思います。
本社と海外拠点の組織体制(時代II の組織体制)
さて、今度は組織作りの力点をベースに、具体的に本社と海外拠点の組織体制、役割分担を見ていきたいと思います。
まずは時代IIの本社と海外拠点の組織体制と役割分担を図にしてみます。
本社と海外拠点の関係はトップダウン型です。
本社が商品を作り、戦略を考え、海外拠点は指示された役割分担の下、戦略を確実に実行することが求められます。
今日は一旦ここまで。
次回のブログで、時代IIの本社と海外拠点の組織体制をベースに、時代IIIの 包囲戦、各個撃破それぞれの組織体制を考えていきたいと思います。
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