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善い先生論

先日の記事を読んだ方から、こういう人学校の先生に多い!とコメントを頂きました。

なので今日は私の学校の先生の話でも書こうと思います。

これは私の高校時代の話です。

私は、大学にAO入試という、みんなより少し早い時期の自己推薦入試で大学に入りました。

私の高校から同じ大学を10名ほど受けたのですが、合格者は私1人でした。

ただ、謙遜でもなんでもなく、この10人で私が1番賢かったわけではありません。

1人だけ、準備の仕方が滅茶苦茶偏っていただけなんです。

と、いうのも、他の9人はAO入試なんて受かったらラッキー!くらいで、一般入試の勉強をメインに受験勉強をしていました。

一方私は、その頃体を壊しがちで、一般入試を戦い抜く体力がなかったんですよね。
なので、周囲に反対されながら、夏休み前に一般入試対策学科を全て捨て、尚且つ、他の大学のAO入試を全部捨て、第一志望のAO一本で対策をしたんです。

なので、この大学のAO落ちたら終わりです。浪人かプータローか、、、笑

無謀な受験対策をしていたんです。

まっっっっったく現国も古文も英語も日本史もなんにもやってなかったんですよ。

そんなギャンブラーな受験方法でした。笑

とはいえ、振り返ると、私は今までとても倹約的な受験をしてきたなぁと思います。そのこともいつかお話しますね。

前置きが長くなりましたが、そんなこんなで、私の高校からAOでこの大学に入学したのは私1人でした。(そりゃ勉強せずに論文ばっかり書いてたんだから当たり前)

別に有名な大学でも、偏差値の高い大学でもなかったのですが、10人中1人合格した。
というのがそうさせたのだと思いますが、私の合格後しばらくして、学年主任が私のところへ来てこんなことを言いました。

「お前、調子に乗るなよ。落ちたやつの気持ち考えたことあるのか。」

なんで合格しておめでとうも言われず、こんなことを言われるのだろう。とぽかーーんとしたのを今でもしっかり覚えています。

この先生は体育の先生で学年中の人気者、みんなが大好きなスター先生でした。(これからこの先生のことはT先生と書きますね。)

多分T先生は合格して以来、私が学校を休みがちになったので、サボっているんだと思ったのでしょう。

先程も書きましたが、この頃私は体を壊しがちで、学校でも貧血を頻繁に起こして居たのですが、思春期で具合が悪いと知られるのが恥ずかしくて、具合が悪くなってふらつくと、トイレに行ってうずくまって治るのを待つ。

みたいなことをしていました。

なので、調子が悪い。ということを把握するのが難しかったのかもしれませんね。

T先生に心ない言葉をかけられたのと時期を同じくして、わたしの部活仲間がわたしの体をとても心配してきたんです。

部活は引退した後だったし、部活を引退してからみんな受験勉強に集中していて、あまり接点も無くなっていたので、なんで気づいたんだろう。と不思議でした。

しばらくして、それはある先生からの差し金だったということを聞きました。

その先生というのは、
いつも頭を斜め45°に傾けて歩き、タコのように口を尖らせ、黒縁メガネにハゲ散らかした頭で、とにかく授業が厳しく怖い、、、という、生徒から嫌われる要素の揃った先生で、
以前電車内で痴漢の冤罪を着せられ、それ以来ラッシュを避けて朝6:30には学校にいるような、、、そんな人気者とは程遠い先生でした。
(これからこの先生をS先生と書きますね)

S先生は数学の先生だったし、同じ学年の担任はもっていたけれど、文系のわたしとは深くかかわることもなく、授業も受けたことがありませんでした。

そんな先生でしたが、どうやら校舎内を真っ青な顔でふらふら歩くわたしを何度か目撃し、直接言っても逆効果だと思い、自分の受け持つクラスの私と同じ部活の子に

「あいつ、最近真っ青な顔色してるぞ。お前同じ部活だよな。よく側でみといてやれよ。」

と言ったそうです。

そして、その後も
「黒沢の調子は大丈夫そうか?よく見といてやれ。あぶなっかしいから。」

と度々部活仲間に言っていたそうです。

後からこのことを聞いて驚きました。

確かに、この先生に直接大丈夫か?なんて言われても、わたしはぜっっったいに大丈夫です!しか言わなかったと思います。
それを見越してわたしの友人に注意喚起をしたんですよね。

しかし、まあよく気づいたな!と驚いたもんです。笑
いつも天を仰いでて目なんか一度も会ったことなかったのに!笑

きもい、ハゲ、怖い、そんな風に生徒から邪険にされがちな先生でしたが、その一見以来、その先生を見る目が変わりました。

一方のT先生は、私が療養のため冬休みの期間一時的に検査入院することになり、学校に連絡すると、コロリと態度を変え、病院に見舞いに来る、というのです。(丁重にお断りしました)

今まで体調が悪いので遅刻したり、早退したりしていたのは全く信じなかったのに"入院"というパワーワードが出た瞬間に、コロリと態度を変えたんです。

私はそれがとてもとても悲しかったんですよね。

入院なんてしてしまえば点滴で体は楽になるし、本当に助けてもらいたかったのは、遅刻や早退をしながら満員電車に乗って必死に学校に通っていた時期です。

その時期にあんな言葉をかけておいて、よくもまぁのうのうとそんなこと言えたもんだ!
と思いました。

その後、退院した私は、S先生に「ご迷惑おかけしてすみません。ありがとうございました。」とお礼を言いに行くとたった一言、「ほぅよかったな。でも無理するなよ。」と。

驚くべき素っ気無い言い方で、相変わらずタコのように口をとんがらせて吐き捨て、一瞬で去って行きました。(ちなみにこの時も一切目は合わなかった)

本当にこの先生心配してくれてたのかしら。と思うほどあっさりした言い方でした。笑

ここからはわたしの見解になりますが、多分S先生は今までの人生で、人に誤解されたり、分かってもらえないことが多かったんじゃないかなぁとおもうんです。

見た目だけでいうと、満員電車にS先生がいたら痴漢の犯人だ!と私でも思うほどです。(失礼)

何にもしてないのに痴漢の犯人扱い、きっとそれ以外にもその類の勘違いをされてきたのでしょう。

そりゃ悲しいし、やるせない。

そんなことを多く経験していると、自然と人のことをよく見るようになるんでしょうね。。

自分も誰かを勘違いして傷つけてしまわないように。

その結果偉そうに強い言葉を振りかざすのではなく、ちゃんとその人が受け取れる方法で言葉を伝える先生になったんだと思います。

傷を多く負った人はその分人に優しくなれると言いますが、S先生もたくさん勘違いされた分、人の本心を見る力がついたのかもしれません。

そんな素敵な先生の話でした。

今もどこかの学校で、タコみたいな顔して生徒を見守っていることでしょう。笑

今頑張って学生してる、中学生、高校生の子たちもそんな素敵な先生に出会えますように。




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