見出し画像

私たち(大学生)、小学校に行ってきました。

先日、無事留年を回避しました(別にそこまでギリギリではありませんが、大学生活残り僅かなのでなんとなく騒ぎ立ててみました)。
年度の締め括りとして、活動への想い的なものをバーッと書き起こしてみました。感情で一気に執筆したものなので、読み難かったりわかりにくかったりする部分があるかもしれません。温かい目でご一読いただけるととても嬉しいです。

私は、21歳の大学生です。
法政大学キャリアデザイン学部3年生。
あるNPO団体で小学校教育に関連する活動を行っています。
教職志望の大学生ではありません。

最初にこれだけは言わせてください。
私は「教育」というものを語る資格なんて、これっぽっちもありません。
今日私がこのnoteで発信したいことは「日本の教育はこうあるべきだ」とかそんな大層なものではないということをお伝えしておきます。

実に10年ぶりに小学校の校門をくぐって、
令和(?)の小学生と話して、
感じてきたことをまとめてみました。

NPO団体forGenerationsは、大学学年スキル不問の学生団体です。


1.  なぜ小学校に行ったのか

どうして私は小学校に行ったのか。
その経緯を説明するために、少しだけ私の個人的なお話をさせていただきます。

私のキャリアのルーツは教育にはありません。
大手小売企業の販売員として3年間で1億数千万円の売り上げを記録した私は、学生ながら俗に言うトップセールスというキャリアを手に入れました。
大学卒業後はより大きな企業で、新しい挑戦をしていくのだろうと何となく想像していました。

しかし私は就職活動が本格化し始める直前、大学2年生の冬。
NPO団体の立ち上げを決意しました。
どうしても、教育をやりたかったんです。

私は大学で「キャリア論」というヒトの人生についての学問を選考しています。先述した大手小売企業ではゼロから人材育成企画を立ち上げ、社長賞をいただいた経験もあります。営業や販売への適性も理解していましたが、何よりもHR(企業における人的資源・資本の活用)という世界にとてつもない魅力を感じていました。今より大きな企業の人事部に就職して、HR課題から企業を大きく成長させる挑戦をしたかった。

それでも…
「ヒトの人生」というものについて考えれば考えるほど、教育というものに携わりたい気持ちが頭から離れなくなっていきました。

私はある日、現共同代表の親友ちゃんと後輩くんに、DMを送りました。

小学校教育に挑戦してみたい

3人の深夜zoomをきっかけに動き出したNPO団体forGenerationsは、誕生から1年と少しが経ちます。現在メンバーは17名(休職者含む)にまで成長しました。

大学生に向けて、団体活動の紹介イベントを行なっています。

テレアポ経験のある親友ちゃんが小学校に架電をしまくり、ようやく決まった1校目の実施はコロナの再流行によって阻まれました。死闘の末なんとか昨年末、これまで地域社会の課題解決事業を推進してきた後輩くんの繋がりをきっかけに小学4年生向けの初回授業を実施。優秀な後輩たちがそのバトンを繋ぎ、その後都内公立小学校2校での授業を実施。団体はこの春からまた新しい小学校で、子どもたちの未来を考えていきます。

全ての世代のために

これは団体が掲げるコンセプトです。

私たちの活動は、一方的な奉仕活動・ボランティア活動ではありません。

大学生を集め、小学校に赴いて子どもたちと「未来」について話します。誰も教壇には立ちません。小学生と大学生は、チームをつくって1つの机を囲みます。「世代間キャリア共育」と名付けたこの新しい教育方法は、双方的な学びがあって初めて成立するものなのです。未来に感じる「ワクワク」というものをテーマに、お互いの思いの丈をぶつけ合う時間。
オランダのレッジョ・エミリア教育をモデルとした、日本の子どもたちに向けてリデザインを行った新しい形のキャリア教育です。

大人になるにつれ、夢とか将来とかについて話すのが恥ずかしくなってしまった自分が嫌いでした。
自分のことを棚に上げて、カッコつけて「マジ将来考えるのだりー」とか言ってる友達に憤りを感じていました。

子どもたちには今のうちから、ちょっと嫌なことでも自分の未来についてしっかり考えることを経験して欲しかったんです。

・・・

中学3年生で経験した短期留学中の出来事で、
今でも鮮明に覚えていることが1つあります。

教室の真ん中である男の子が、自分の夢についてを楽しそうに語っている姿でした。そしてそれを嘲笑うことなく、讃えるかのような笑顔で彼を見守る友達数名。

「俺は将来、漫画家になるんだ」

…彼の夢は偶然にも、私と同じモノでした。
当時自分は、自分のその夢をほとんどの人に言ったことがありませんでした。恥ずかしかったから。中学生にもなって夢を追いかけているのがカッコ悪いと思ったから。夢なんか語るよりも周りに合わせて休み時間や放課後を過ごすことの方が大切に思えていたから。


だから私は、新しい教育をつくることを決意しました。

・・・

そして

時は流れ…
NPO団体forGenerationsとして記念すべき初授業の日、私は偶然にもまた「漫画家」という将来の夢を持った少年と出会ったのでした。


2.  小学校に行って感じたこと


あんまり人に話したことはない話ですが
と、言うよりこれくらいの話は最早あるあるなのかもしれません
私は小学3年生くらいの時に軽い「いじめ」を受けていました

と言っても鮮明に残っているような記憶なんかではなくて。最近母が私の過去についてを話しているときに「そういえば…」と思い返したくらいの出来事です。おちゃらけキャラだった自分に対して過剰な暴言を吐かれたりとか。ほんとそれくらいの規模感でした。

大小人それぞれだと思いますが、いじめのみならず誰にでも、小さな頃から「しんどいな」って思った出来事のひとつやふたつ、あると思います。少し誇張した話をするなら、日本の児童の自殺者数は増加傾向にあります。もうどうしようもないくらい目の前が真っ暗になったとき、あれだけ子どもの自殺がどうとかってニュースとかSNSで取り上げられていたら、そういう行為をしてしまう人も増えてしまうのかも知れません。

大切なひとがいなくなってしまうことは良くないことだと思いますが、その原因についてを批判することなんて誰にでもできます。だからいつかこの問題に、何かしらのアクションを起こせないかなとずっと思っていました。
NPOの立ち上げに際して子どもの教育に携わることが決まった時、自分の中での小さな目標がそこにありました。しんどいことが沢山あっても、それを忘れられるくらい熱中できるものがあることが大事なんだと。伝えたかったです。別にそれは立派な夢じゃなくていい。いつかあれ食べたいとか、あの人と話してみたいとか。週末あのアニメの続き見たいとか。そういう小さなワクワクでいいと思っていて。

・・・


将来の夢が漫画家なんだって私に教えてくれた少年も、見てる感じ周りから、からかいみたいなものを受けていました。ちょっとぽっちゃりした体型で、それをいじられていました。本人全然気にしてないような顔していましたが、私は当時の自分を重ねました。ああ俺、こんな感じでからかわれてたかもな…と。

そんな少年に、僕は絵を描きました。
これは偶然でしたが、この学校で実施した授業が「みらいストーリー」というコンテンツでした。自分の未来に対するワクワクを形にするため、それを絵本に落とし込んでみんなに発表するというもの。

少年が絵本の内容に悩んでいたので、少年の似顔絵を描いてみました。

少年はこう口にしました。

スゲー!黒澤さん絵うめー!


クラスの子どもたちが私の周りに集まってきました。少年は少し寂しそうな顔をしていました。


・・・


多分少年はまだ、友達に漫画家という夢を伝えたことはありません。
言ってはいるのかもしれないけれど、周りはそれをきっと認識してはいません。
自信を持って友達にそれを話していないんだろうな。

この授業を通じて、彼に何かを持って帰ってもらいたい。
そう強く思った1回目の授業でした。
(当授業は全3回で構成された短期カリキュラムです)

3.  子どもたちに伝えたこと


2回目の授業実施日に、彼に聞きました。
どうして漫画家になりたいのか。
すると彼はこう答えました。

ONEPIECE面白いから!


休み時間の様子を伺う限りですが、彼とその周りの友達との会話の中心がONEPIECEのアニメの話でした。彼は会話の中心になることはなかなかありませんが、ウズウズしながら会話に入り込む様子を伺います。

俺は○○のキャラクターが好きだけどなー!


(っていうか話遮りますが、
自分が小5の時にもクラスの話題の中心だったONEPIECEが10年後の今も尚、子どもたちの話題なのすごすぎませんか。尾田栄一郎先生えぐい。)

クラスのみんなを高揚とさせるような作品を作りたい、少年が漫画家になりたい理由がぼんやりと見えてきました。2回目の授業の休み時間に、彼が考えた長編の作品を見せてもらいました。10数話に渡って描かれたその作品の主人公は、ONEPIECEのルフィみたいな少年でした。楽しそうに自分の作品について説明する彼を見て、自分が彼になんて言葉をかけることができるのか。真剣に考えました。

・・・

迎えた授業最終日、少年を含む小学生のみんなが描いてくれたみらいストーリーを拝見しました。素晴らしい出来でした。10数本色鉛筆、すべての色を使い切って描いてくれたみんなの「ワクワク」に高揚しました。

少年の発表は、どこか自信がなさそうでした。
授業終わりにその理由を聞きました。

私- 恥ずかしかった?
少年- だって俺、黒澤さんみたいに絵が上手くないもん。

胸がギューっとなりました。
自分が漫画家という夢を諦めた日がフラッシュバックしました。

・・・

忘れることはない、2020年の3月16日。
担当編集さんに持ち込んだこれまでの人生で最後の作品。
タイトルは「ピーターパン・シンドローム」。

初めて出版社へ持ち込みをした中学3年生の頃から
どんな駄作でも、漫画賞に提出してくれた担当編集さん。
私の最後になるかもしれない玉稿を、人生賭けて挑むはずだった漫画賞に
投稿させてはくれませんでした。
今でも忘れることは無い、この言葉を口にして。

これは俺が〇〇賞に出すこともできるし、
最終選考ぐらいにはもしかしたら残るかもしれない。
でも、黒澤くん。家に持ち帰ることもできるよ。

その日、私は漫画家という夢を一度諦めました。
絵の成長速度だけが同世代の作家に置いていかれている自覚がありました。
大学に進学する旨は担当編集さんに伝えていました。
漫画家という夢を追いかけることへの不安も、伝えていました。

打ち合わせ終わり、出版社の前で大泣きしました。
当時はそれほど担当編集さんの言葉の意味を理解することはできませんでしたが。
今だからわかります。仮にあの時、小さな結果を残してしまっていたら。


・・・

まず口にしてみて欲しい。誰かに。
前の授業の時はさ、俺に面と向かって真剣に話してくれたじゃん。そういう風に。俺はその話聞いてめちゃくちゃワクワクした。
夢を叶えるのは結局自分だけどさ。それを本気で応援してくれる友達にきっと出会えると思う。そしたらその友達を信じて、夢を話してみて欲しい。

自分が成功したか失敗したかとか、どうでも良くて。
子どもたちが僅かに抱くワクワクに対して、私たちは小さな言葉を添えるだけ。後悔を伝えることで不安にさせることも違う、失敗から「こうならないでほしい」って伝えることも違う。

ただこの経験によって、得たものを伝えたかった。私は漫画を執筆した期間を通じて学んだ「努力を続けるために必要なもの」を伝えたつもりです。
私は1人で部屋に閉じこもって、漫画を描き続ける新妻エイジになりたかった。(バクマン。知らない人はわからなくて大丈夫です笑。)一人で自分の作品と向き合いながら努力を続ける才能はありませんでした。だけど、大切な人にだけこの夢を伝えていたから、6年間ペンを握る続けることだけはやめませんでした。漫画家になるのをやめようとも、一度も口にしませんでした。結局漫画家にはなれなかったけど、人に夢を伝えたことが自分にとっての大きな原動力になっていたことは確かです。
とりあえず一作品描きあげてみろって親に言われて。まだ中学生で切符の買い方もままならなかった自分が、東京の出版社に作品を持ち込んだ日。努力の方向性にアドバイスを与えてくれる人に出会いました。


子どもの頭の中に浮かんでいる、小さなワクワク。
それをうまいこと引っ張り上げて、やる気にさせるにはあまりに時間が足りません。だから彼が自分から行動できるように。頑張るきっかけを得ることができように、その日できる最大限のアドバイスがソレでした。

・・・

教育に正解はないってこういうことかあ、と。
いまだに最後のこの言葉が正しかったのかを悶々と考える日々です。
彼のネクストアクションに、繋がっていれば、いいな。



4.  時間が私たちにもたらすもの


過去の失敗を「上書き」する必要はないと思います。初心を忘れてしまうと、どこかで足を掬われます。人は変わります。とんでもない速度で。変化というものは恐ろしいもので、自分以外の変化に気づくことは多くても、自分の変化には気付けないことが多い。

保身的だった人がある日アクティブになり、攻撃的だった人が突然落ち着いた発言をするようになる。

様々な経験を経て、人は大人になる。いつまでも「子どものまま」でいられる大人なんていません。だからこそ、かつての自分を否定してしまうことは危険です。

突然アクティブになった人は、改めて地に足をつけて冷静になるべきです。本当にその道は正しいのか見つめ直すことができる性格は、過去に何か失敗を引き起こしていたとしても、決して悪いことばかりではありません。その逆も然り、突然保守的になった人は、そこまで謙虚にならなくてもいいかもしれません。少し横柄なぐらいが、カリスマ性あるあなたに魅力を感じていた人とヨリを戻すきっかけになるかも。
何かと極端な選択を強いる世の中の言う通りに「どっちか」を選択する必要なんてありません。「こうあるべきだ」と人々は発信しますが、その通りにてうまくいかないこともあるでしょうし、だからと言って真反対だけが正解というわけでもない。「攻撃的であるか保守的であるべきか」1つ取ったとしても、極端である必要はありません。ベンチャーか大手か、とか。就職か院進か、とか。別にベンチャーと大手の間くらいの規模の企業なんてたくさんあるし、就職か院進だけが大学院生のキャリアではありません。

こどもたちとの対話は、私たち大学生にそういう気づきを与えてくれました。彼らの中のほとんどは遠い未来を見据えているわけではありません。毎日毎日をどうやって楽しんで過ごすのか。それに全力を注いで生きている訳です。

大切なものを思い出すきっかけを、どこかの小学校の誰かが、提供してくれるかもしれません。


・・・


子どもたちに何かを届けたくて小学校に伺ったのに、学びばかりです。
今時の小学生って本当に大人なんですよ。情報化社会で育った彼らは、当時の私たちよりも博識であることは確かです。良い意味でいろんなものに冷め切っていて、ある程度社会を理解している。

スクリーンショット 2022-05-03 21.12.47

もし、あなたが人生の何かに悩んでいたら。
私たちと一緒に小学校に行きませんか?
未来ばかりを見つめることが苦手な人もいると思います。

自分とは何者なのか、そのヒントが過去に隠されているかもしれません。一度教室に帰ってみて、子どもたちと対話してみてください。ちょうど先週小学6年生と会話してきましたが、私たち大学生とノリはさして変わりません。鬼滅の刃とアーニャの話ができれば行けると思っていましたが、案外必要だったものは
自分の話でした。

何が好きなのかとか。大学生だけどちゃんと勉強しているのかとか、就職活動が近くて焦ってることとか。どういう異性がタイプなのか、とか。

この活動を始める前は、少し不安でした。小学生は本当に、大学生と対話することを望んでいるのかとか。私たちがつくった授業を楽しんでくれるのかとか。
意外にも彼らが喜んでくれたのは、私たちとの会話の時間でした。
彼らは、学校の先生や親よりも少し近い場所で必死に毎日生きている私たちの話を楽しんでくれました。授業の始まりはちょっと嫌そうな顔をしていた子も、授業が終わる頃には友達と楽しそうに将来何をやりたいのか話し合っていました。


学生の皆さん、私たち小学校で待っています。


お問い合わせは下記SNSのDMまで↓

Twitter@kuroyoji9638
Instagram@yoji_kuro8.1

____________________________________

NPO団体forGenerationsは活動の更なる拡大のため、
団体を支援くださるパートナーシップ企業様を募集しております。
下記メールアドレスまでご連絡をお待ちしております。

yoji.kurosawa.5m@stu.hosei.ac.jp

_______________________________________________________________________________

一部団体メンバーのSNS紹介をさせていただきます。

共同代表兼
第一回実施神奈川県公立小学校事業責任者 Twitter@mchu_akamu
第二回実施東京都公立小学校事業責任者 Twitter@ryuhei_89
第三回実施東京都公立小学校事業責任者 Twitter@unoki_taiyo
共同代表兼渉外業務責任者 Twitter@ririkahirano

______________________________________


本当に本当に最後になりますが、

forGenerationsのみんなと

お忙しい中、
ご協力いただきました小学校の先生方に心からの感謝を申し上げます。

2023.2.27 黒澤洋士


この記事が参加している募集

探究学習がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?