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kishimojin1969
【随筆/まくらのそうし】 梅桃(ユスラウメ)
今年は日照りが続いたか、ユスラウメが不作である。
不作と言っても、実は成って、赤く熟れてはいるのだが、まるで冷蔵庫にほったらかしのリンゴのよう、しなびてまるで元気がない。
無論、食べても不味いのである。
日照りが続いたとは言えど、ただ暮らす人には気持ちの良いもの、農業には困ったもので、特に水ばかり必要な田んぼでは、死活問題といったところか。
それでもここらは水の豊かで、下流の人は頭を抱え、温暖化に水不足、エコだなんだと言いながら、人が暮らしを改める様子は微塵もない、皆、お口ばかりが達者である。
雨の降らぬ五月にも、山には他の果実も成る。人のため、天に雨を乞うたとて、誰も水に困っているとも思わなければ、雨乞うこちらを笑うだけ、どうにも空しいことである。
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