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某園芸センターの思い出

 何かの法に触れはするだろう、その園芸センターという場所は、草木の鉢以外にも、鳥や魚を扱っていて、その魚が弱ると目の前のドブに流すのだった。

 そのドブという名の農業水路、これが子供のシマであり、学校帰り、ランドセルを放り出しては、網を片手にそこへ行き、ドジョウやザリガニ、オタマジャクシ、トノサマガエルを捕まえて、さらにはセンターの流した熱帯魚やら、鯉やら小魚を捕まえ、持って帰った。

 子供心に熱帯魚など、廃棄されたものとも思わず、普段はないような綺麗な魚を捕まえたと、そんな程度であったのだ。

 そんな園芸センターにはもう一つ、忘れられぬ思い出がある。

 それは母の誕生日、プレゼントを何にしようかと悩み抜き、虫が嫌いな母のため、ハエトリグサをと思いつき、園芸センターへ買いに行くが、取り扱っておりませんとの冷ややかな対応、肩を落とし帰ったのは、母のためではまるでなく、己が欲していたのだと気づいた小四の冬、いま思えば尚更に、買わずに済んで良かったものだと、虫が嫌いな人ならば、虫を溶かして食う草を好むわけもあるまいに。

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