【随筆/まくらのそうし】 植林

 植えられた木は弱々しいと、そう感じる日々である。

 ものを知らぬ人などは、木は切ってしまえばもう生えず、山は禿げ山になるのだと、そう信じている節があるが、なんの、それはここではなく、どこか別の国の話で、寒さや乾燥の厳しいところだ。

 ここでは山の木を切れば、すぐに地面は草に覆われ、どこから飛んできた木の種が、すぐに芽吹き、すくすく育つ。

 いわゆる実生というやつだが、これが大地に張る根は強く、ちょっとやそっとでは倒れもしない。

 翻って、人が植えた木の根は浅く張る。そのため、大雨にもすぐに倒れ、被害の程度を大きくする。

 杉などはその代表格で、間伐もせずに放ったそれはマッチ棒のよう、土砂災害とテレビの映すものは、必ず細い木ばかりの杉山だ。

 木を植え、自然に貢献したと思うは、人ばかり。その自然の定義をば、一度考え直してみてはどうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?