水に親しむ
川や海に遊び、水に親しい子らである。
特に青い水壺のような深い川に潜り、浮かび、流れに身を任せ、溜まりへ戻り、と、冷たい水も何のその、夏の日にはいつまでも浮かび、飽きることがまるでない。
しかし、これが泳ぎとなると面白くなく、やれクロールだの平泳ぎだの、教えられた端から忘れ、ただ潜る、浮かぶを繰り返す、まるで水の生き物、カワウソである。
思えば、この水に親しいということと、泳げるということは、まったくの別物、一方は水に戯れ、一方は水を利用し、あまつさえその支配者を決めるというわけで、そう考えれば遊ぶ子らがカワウソに見えるのも、合点がいくというわけだ。
しかし、ここは人の世、カワウソが水に遊べば、泳いでいないので溺れているのだ、溺れそうだと決めつけて、ライフジャケットを、浮き輪をと、善意で勧めてくれるのだったが、カワウソがそれを付けるわけもない、すると親はせいぜい大きな浮き輪を持って、いつでも助けられますというアピール、無論、万が一ということもあろうが、いまのところ大きな浮き輪、持ち運ぶも厄介な、人への配慮の塊である。
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