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小説 『何が、彼女を殺したか』 (20)

note公式テーマ「#家族の物語」応募作品。ある一人の少女が殺された後、残された遺族たちの再生の物語です。全21回にわたり、お届けします。

▶︎目次

村野正臣の手紙


 かわいかったマキちゃんのオヤジさんへ

 もう二度と手紙なんか書かないって言ったけど、これがほんとのほんとに最後の手紙になる。お前は今、笑ってるか? もう二度と手紙を送らないっていったのに、やっぱり俺はウソつきでサイテーの人殺しだと思って笑ってるんだろ。それとも、前の手紙も読んでないから、俺が何を言ってるか、ぜんぜん分からないのか? もしくは、この手紙も読んでないから、お前は今日もぬるい日常生活を送ってるか。

 そう考えるとすげえムカつくけど、もし、この手紙を読んでないなら、あとで後悔するだろうと予言しとく。なぜって、これは殺人予告だからな。25年前、マキちゃんを殺したのと同じ日に、お前を殺してやるよ。まだあの家に住んでるってきいたから、まちぶせして、殺してやる。みきこさんは許すけど、もう一人の娘もいたら、殺してやる。俺のうらみを思い知らせてやる。仲良く天国にいきやがれ。

 けーむしょの中からどうやって殺すかだって? ヒントはこの手紙にかくれてるけど、気づくかな? まあ、封筒をよく見ろよ。これがラストチャンスだからな。

 分かってると思うけど、俺はまだ死なない。べんごしのやつらがいるし、そいつらがまた死刑をなくしてくれるからな。みきこさんはどう思うと思う? りこんしたおまえより、俺のほうが会ってるから、また「死刑にしないでください」って言ってくれるかもな。そしたらむっちゃ笑えるな。だから、もし死刑になっても、笑って死ねると思う。でも、おまえは絶対じごく行きだ。

 村野正臣

▶︎次話 終章


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