【随筆/まくらのそうし】 紫陽花
土地に馴染むもの、馴染まないもの、というのがある。
例えば、アジサイ。これがナンバーワンという植物で、小さな鉢植えだったものが、いまや小さな森かというほどに、こんもりと茂っている。
鶏などは、このアジサイの下に潜り込むのが大好きで、夏の暑い日などにそこを覗けば、五羽、六羽と、気持ちよさげに丸まっていた。
また、ユスラウメや桑の木、胡桃の木、梅に栗、スモモや柿といったものは、手入れなぞまるでしなくとも、自然と大きくなっている。虫もつかず、病気もせず、人は収穫のときだけに顔を見せるだけという勝手ぶりだ。
かたや、馴染まないのも色々あって、リンゴだの桃だの、イチジクやザクロ、トチノキもまるで大きくならぬし、クチナシの木は植えてすぐに枯れてしまった。
手厚く介護してやれば、無論それなりになるのだろうが、どっこいこちらは放任主義。
環境の好き好きがあるのだろうなあ、など、肩をすくめるのみである。
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