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セミと子供と女郎蜘蛛

 ジョロウグモとは、細長い、尻に紅を付けたようなクモであるが、それがドブの上に巣をかけて、子供がバッタを投げ入れる。

 絡まるバッタが暴れれば、クモはすすすと近づいて、尻から出した幅広の糸、足で器用に操って、くるくるくると餌を巻く。

 これが神業というほど素早く、正確、面白いので、子供はどんどん投げ入れる。

 しまいには大きなセミを捕まえ、投げ入れたところ、当たり所が悪かったのか、セミはジジジと巣を壊し、空に向かって飛んでいく。

 残されたのは半壊の巣と、ストックされたミイラが三つ四つ。

 子供は既に飽いたように、ミズカマキリを追いかけている。

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