【随筆／まくらのそうし】　蛙酒

　干して、焼酎に漬け込むと、美味いカエルがあるのだという。

　蜂やヘビを漬け込む酒というのは知るものの、カエルというのは初めて聞いた。

　果実酒などとは勝手が違い、あまり作る気にもなれないが、骨酒やひれ酒に似たような、そんな味になるのだろうか。

　しかし、好きな人は好きなもので、スズメバチの、それも女王だけ捕らえては酒に漬け、マムシを探し、罠を掛けては捕まえて、絶食させて酒に漬け、そうして楽しむ人がいる。

　慣れもあり、危険なこともないのだろうか、こちらとしてはヒヤヒヤで、それに比べればカエルなど、楽で安全な漬け物である。

　それでもカエルを捕まえぬのは、それに愛着を持っていること、オタマジャクシから育てながら、意図せずミイラを作ったことなど、子供の頃からの経験が、とにかくカエル酒作りを阻むのである。