紫陽花のつる

　夏前まではアジサイであったはずなのに、花が終わった今ではそれは、白く小さき花の咲き誇る、こんもりとした茂みである。

　なぜかと答えは簡単で、アジサイの茂みを乗っ取るように、ツル植物が繁茂して、その花を一気に咲かせたからで、こうなればアジサイはモミの木、クリスマスツリーの土台となって、輝くような花の飾りを引き立てているだけである。

　このツル植物というやつは、まったく厄介、若いうちに切ってしまわなければ、ツルはどんどん木化して、手でも鎌でも歯が立たぬ、アジサイならばまだいいが、動物避けのフェンスにぎっちり巻き付くツルなどは、もう二度と解けはしまい、無様な鋼を覆い隠してくれればいいものの、それも植物、ままならず、横糸のなく、縦糸ばかりの編み物ならば、フェンスはフェンス、ツルはツル、何とはなしに小汚い、どうにも溶け合わぬようである。