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トラウマを克服しよう。

俺は犬が苦手である。

写真や動画で見る分にはかわいいと思えるが、近くに来るとめちゃくちゃビビってしまう。

そうなってしまった原因を遡ると、それは幼稚園児の頃。

家の前を母親と歩いていた俺は、近所のおばちゃんと遭遇した。
近所のおばちゃんは、犬の散歩をしていた。

当時、犬への恐怖心などなかった俺は触ろうとしたが、触り方が悪かったのかもしれない。
犬は激怒した。

俺のケツに噛みつくと、そのまま俺のズボンとパンツを引きずり下ろした。

公道の真ん中でケツを噛まれた上にフルチンにされた俺は、それ以来、犬に近づかれると身構えてしまうのだ。

犬に恐怖心を持っていると、犬の方も図に載るのだろう。

この世の全ての犬は俺を見かけると吠えてくる。

原付に乗っていても吠えられる。

犬を飼っている人には
「怖がってるとワンちゃんも怖くて吠えちゃうんだよ〜」
とか言われるが、あの目は完全に獲物を見る時の目である。

完全に俺を食べようとしている。

しかし最近は小さい犬にはビビらなくなってきた。少しずつトラウマを克服しつつあるのだ。

その理由はやはり、少しだけ筋トレを始めたからだろう。

身体を鍛え始めた俺は、ただ犬に捕食される人間ではなくなったのだった。

この世は弱肉強食である。
強者こそが全てを掴むこの世界ではあるが、弱者にも平等に戦う権利はあるのだ。

俺は小さい犬が相手ならば、もし戦うことになろうとも勝てる自信を得た。

1番簡単なのはミニチュアダックスフンドだろう。

あの短い手足と長い胴体では素早く動くことはできまい。

掴みかかろうとすれば手を噛まれる可能性は高いが、足技を主体で戦えばなんとかなるはずだ。

ミニチュアダックスフンドにはもうビビらない。

トイプードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアン辺りにも勝てるだろう。

怪しいのはチワワだ。

チワワは身体が小さく見た目が可愛い割に、かなり凶暴である。
さらにはすばしっこい。

パワーはないがスピードタイプと言ったところか。

あの小さい身体であのスピード。

俺の拳でチワワの脳天を捉えることは困難を極めるだろう。

反対にチワワが俺の首筋に噛みつき、その鋭い犬歯に動脈を貫かれることになれば、俺は容易く命を落とす。

真正面から戦っても勝ち目はないか。

しかしチワワはそこまで頭が良くないのだ。

左手でビーフジャーキーでも持っておけば、すぐに左手に噛み付くだろう。

そして噛まれた瞬間に左手で掴み返す。

スピードを封じれば、奴はただの小さい犬だ。

とはいえ、噛まれた左手の出血は避けられないだろう。
おそらく左手はもう使い物にならない。

だが、左手を犠牲にしてでも、俺はチワワに捕食されるわけにはいかないのだ。

俺には、俺のことを待っていてくれるファンの皆さんがいるのだから。

ファンの皆さんのおかげで俺は辛くも勝利を収めることができた。

今後はチワワにもビビらない。

逆に絶対に勝てないのは、柴犬、ブルドッグ、ゴールデンレトリバー等のパワーがある犬だ。

もっと鍛えなければ、おそらくまともな勝負にすらならないだろう。

奴らの攻撃を喰らえば俺の骨は粉砕され、四肢は一撃で持っていかれると思われる。

トラウマを克服するためには、もっともっと強くなるしかないのだ。

俺は誰にも負けない強さを手に入れると胸に誓い、戦いを求めて夜の街へと飛び出したのだった。

おしまい。

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