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一四零の庭苑 1巻 完結

1,000
X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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#春

詩「春と雨」

春先のしとしとと降る雨は私の心を持って行く ようやく去った冬 春の兆しに桜の開花 縮んだ心が解れたと思ったら 雨が体から私を冷やして行く まるで厳しかった寒さと共に忘れてはいけない何かがあるかのように けれども雨に混じって微かな花の匂いに微笑みが零れ 季節の移り変わりを見た

詩「桜吹雪」

花吹雪舞う幻想の刹那 桃色も香りも舞い 私は魂を取られたごとく中に居る その世界は私を囲み 命の舞いは私の内へと入り込む 私の命へも息吹を吹き込み あふれた衝動は言霊のように あふれた涙は桜への礼となりて 夢の刹那は幕を閉じる 私に美しい感動の傷跡を付けて 桜吹雪

詩「夢見る頃に」

冬を乗り越えて春 辛くとも辛くとも四季は巡りて春を呼び 時の流れに一時癒やされて、けれども時の重みを感じ くじけず今も持ち続けた夢に秘めたる思い 一時足を止めて今 春のように芽吹く思い夢に抱いて 夢を抱きしめてしまったら またひとつ季節を共に行こうかと思う 夢見る頃に

詩「夜桜」

ある晴れた日の夜に 静寂が春の風を呼んだか 春の風が夜の帳と共に訪れたか 春先の風は私の体を震わせた 思わず我が身を抱きしめて、足早に立ち去ろうとするも動けない 視線の先には桜が花開き 見惚れるとはこのことで、只佇む 賛辞しか言わぬ唇に指を当て、指先に付いた紅の桜色に満足をする

詩「春の夜」

浮き足だった春の夜 夜風が通り過ぎ、ぶるっと震え 目が覚めたような感覚に足を止める 空を見上げると星は輝いて 『人よ、手が届かないだろう』と、お月様は凜として見える 私はぎゅっと衣服を掴んで俯いて夜道を歩き始める 春の夜 夜風が置いていった春先の香りに俯きながらも口元が緩む

詩「春うらら」

ひらひらひら、モンシロチョウ 蝶々、蝶々と追いたくなり 少し冷や冷やした風が私の側を踊るように通り抜ける 気を取られてる間にモンシロチョウ、飛び去った後に花々の優雅な香り 誘われて花々に逢いに行く 色とりどりの花々を見付けたら、木々のさわさわと風と語るような音お聞き、春

詩「春が来た」

「春よ春」と口ずさむ、心は浮き足立つ 見上げる薄青の空の美しさ 過ぎ行く風は爽やかさを運び 木々に花々の匂いは誘い 小鳥たちの囀りは初々しく 世界は一気に色付いた 生きとし生けるものたちの騒めき 命たちが輝き始める 春が来た

詩「花は咲く花が咲く」

花は咲く 春だ、皆で花を咲かせようじゃないか 君が泣いたあとにも花が咲く 君が笑ったあとには花が開き満開となる 君が辛かった道のりは振り返ってご覧 ほら、花が咲いた 君が歩くように、皆も歩いて行く 辛かった悲しかった 嬉しかった楽しかった その歩んだ道には花が咲く

詩「春よ来い」

待ち焦がれる春の息吹 野に山にと昔なら歌うのかもしれないけれど 街に集う公園に春よ来い 春には色とりどりの花が咲き 風は爽やかに通り抜ける 陽は穏やかな暖かさを生きものに贈り 全ての命に春の息吹を吹き入れる 青空には鳥が舞い 野には獣が燥ぐ 花々に蝶が踊り 美しい季節の到来

詩「桜咲く」

桜よ桜 咲き誇れ 咲く前の蕾のふくよかさ 風に乗り咲く前の匂いを運び 私の足を止め 上向く私にときめきを射て 桜よ桜 咲き誇れ 舞う小鳥がとまり囀り 人はそれを羨むだろう 桜よ桜 咲き誇れ 朝となく昼となく 夜には艶やかさを魅せつけて 桜桜 春を呼べ 桜桜 命の息吹を呼べ 桜咲く

詩「春」

春が吹く 私の住むこの街に吹く 花の色づきは匂いも奏で 暖かい風は人の足取りをほんの少し軽くした 春が吹き 猫たちは恋をした 人たちは大きく深呼吸をして 新しい一歩を踏み出した 春とはそんな季節 春が吹く 大きな青い空の下で思う きっと貴方の街にも…… 春は吹き抜け駆けて行く