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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2023年3月の記事一覧

詩「僕と僕」

時々思うんだ 僕と僕 特に辛い時には 本当に苦しい時には 黙ったまま悲しい時には 僕と僕 対話が必要なんじゃないかって だって僕を一番分かっているのは僕だから 時々思うんだ 窓ガラスに映る僕を見て これが今の僕 本当の僕は僕の体の中に居るのかな 何処に居るんだろう 僕へ 僕と話そう

詩「思考のスパイラル」

僕の視界に飛び込んで来たもの スパイラル 僕の体感したもの スパイラル 全てが別で 全てが繋がっている 刹那 感覚 共鳴 そこに瞬きを合わせる そこに呼吸を合わせる 僕の体の動作を合わせ そして思考が回り出す スパーク 思考の海 泳ぐ 表面を泳ぐ 潜る 深く潜る 果てしない旅

詩「話しをしよう」

ねえ君、話しをしようよ 構えず、かしこまらず そのままで良いんだ 君の話しを聞きたい たわいのないことでいい 今、思い付いたことだっていい 君の好きなものや嫌いなもの 何だって良いんだ 感動した時のことを話してもいいかって? 勿論だよ 辛いことも? 勿論だよ 話しをしよう

詩「空しさが来た」

それは突然やって来た さっきまで動き回っていたのに サクサクと用事をこなして 上機嫌でお茶を入れた 椅子に腰掛けた途端に僕の中が空っぽになった 空しい 何だ? 分からない ダメージを受けた覚えもない けれども空っぽなんだ 空しい 空しさがやって来た 誰か、僕に中身を入れてよ

詩「桜の花弁舞」

光が差す 道を行くかのように風が通り 桜の木を揺らす 花弁舞 後に続けとばかり きっと悪戯な春の妖精、弧を描く 花弁も弧を描き、ふわりふわり 何処へ行くのだろう 桜の香も芳しく 一度、目に止めてしまえば虜になる 気付けば、舞が終わった花弁たち 桃色の絨毯 人の世の春の儚き

詩「昨日と今日の間」

僕は妙なことに気付いた それは電撃が走った時 それは閃いた時 それは起こった 今日から明日へと変わる午前零時 朝日が昇る時 逢魔が時 何かがズレたような感覚 何かが入れ替わったような錯覚 そこには『間』があった 僕は咄嗟に昨日と今日の間なのではないかと思った 世の不思議

詩「「立ち直る」ということ」

「立ち直る」ということ 皆、簡単に言う 君も簡単に『立ち直りなさい』なんて言わないで 僕は傷付く 僕も『僕の気持ちが分かるかい?』と君に言わないから 今の僕は 落ちた先の暗闇の底で嵐の真っ最中さ 心が叫ぶ 死にそうだよ それでも待っていて いつか君に笑うから

詩「前を向いて行こう」

前を向いて歩こう 私の人生そうやって進んで行くんだ 立ち止まらない 振り返らない 後ろなんて見ない 人生を駆け抜ける でも時々、苦しいよ 息が詰まる 時々、悲しくなる 『何故?』 立ち止まる 振り返る 後ろも見る それが正解かな やってみようか それから 前を向いて行こう

詩「眠い」

眠い 微睡みの中 ぽやぽやと なんだか気持ち良く心地良く 心の中では『ああ、駄目だ』なんて抵抗する声が聞こえる 眠い 意識を手放しそうで手放さない 『いっそ少し寝るか』 『いやいや時間がない』 眠いんだって 人間だって生きものなんだ 眠くなるのは本能さ だから…… スヤスヤ スピー

詩「未完成の美しさと完成の美しさ」

未完成の美しさがある 完成の美しさがある 人は審美眼を持って生まれて来る 人の審美眼はひとりに一つ 皆違うものだった 未完成 人がいう美しさはそれぞれ違った 完成 人はそれぞれの美しさを語った 美しさはひとりに一つあった 人は知る 美しさとはそのようなもの

詩「咲いた花春の花」

咲いたチューリップ 咲いたキンセンカ 咲いた春の花 きれいに咲いた 何故だか心が弾む 足取り軽く 春の街を行く ハクション! 足が止まり、頭の中は思い当たるいつもの言葉が過っていく 春は来たばかり 少し肌寒い そんな春の風に当たり 春の匂いに触れ 空を見上げた 春の輝き

詩「責める」

僕のせい 私のせい 自分のせい そうやって責め立てる 「ねえ、どうして自分を責めるの?」 「自分を責め立てて。それはどこに繋がるの?」 辛くない? 苦しくない? 「心が痛いよ」 「見ている私も心が痛いよ」 起こったことは変えられない、変わらない 責めると反省も違う 落とし所はある

詩「夜を連れて行く」

静寂を連れた帳が下りる 私は微笑む 誰も気付かぬように 時の刻みは月 灯りは星々 流れる雲の影 深い空気 今宵は街に出ようか 否、静寂を連れ来た帳の気遣いに 知識の海へ本を広げ行こうか 思考の宇宙へその果てへ 誰かと繋がるかもしれない場所へ行くのもいい 私は夜を連れて行く

詩「空気」

はあ~とため息を吐いた 視線は宙をうろつく 心は空っぽのようだ ふと『空気』という言葉が浮かび 思考が散歩を始める 色が無い 形が無い 触れられないじゃないか 存在を知ることが出来ないじゃないか 考えが体の内で渋滞する どうにも出来ないもどかしさ 心みたい いや、そんなに重くない