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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2022年4月の記事一覧

詩「星」

星の光を抱きしめた 夜空を見ていた衝動 突き動かされた刹那 腕の力が緩むのを待つ 時間は緩やかな波間を漂う 暫しの沈黙の後に呼吸を感じて自我のない涙が流れた 自分の体温を感じてゆっくりと瞬きをした そして夜空を見上げる 星とは何だろう 星の光とは何だろう 抱きしめた仕草が愛おしい

詩「休日はひとりで」

「お月様だってひとりじゃない」 そんな言葉を口にする 拗ねた私はひとりぼっち いつもの時間にいつものお茶 窓の向こうのお月様をじっとりと見る 足下でニャーと鳴いた 「ああ、お月様はひとりじゃない。お星様が側にいるのね」 猫の頭を撫でる、グルグルと鳴る喉の音が心地良い

詩「過去は宝物」

過去は私の宝物 辛いこと悲しいこと 嬉しいこと楽しいこと 喜怒哀楽が沢山あった 不幸も幸せも引っくるめて全部が私の宝物 だって経験が過ごした時間が私を作っているのだもの 孤独に震えている時に思い出す 膝を抱えて思い出す そして、すっくと立ち上がる 「また私を作っていくの」

詩「星空に溺れたい」

満天の星空を見て溺れたい そんな夢を見る 灯りの無い部屋の中 暗闇で見るのは再生される星空の動画 繰り返し見ては想像をして 繰り返し見ては癒やされる そして、いつかあの満天の星空の下で寝転がりたいと夢を見る 星空を見て包まれるんだと 星空を見て溺れるんだと 夢を見る

詩「心の宝石」

心の中に宝石を持つ 誰だって持っているもの 大事に大事にするの 大切に大切にするの 手入れもして磨いてあげなきゃね 誰かに見せようか? ううん、見せない 心の宝石は見せては駄目 世界に唯一のものだから 君だけが触れるものだから それでも輝きだけは放たれる 君の宝石は何色

詩「心にピアス」

心にピアス 私が針を刺した ドクドクと激しく温かく 何かが私の心に流れる巡る感覚がする 痛い 私の心が痛む苦しいよ それでも私は針で刺した 覚えて置く心の記憶だから 私の心に刻むもの宝ものにするの 今は針を刺したまま けれど流れる何かが止まったら 美しいピアスで飾るんだ

詩「初恋」

幾年月、在った月 幾年月、月光 幾年月、危うい月の形 僕は焦がれて月を見る 僕は憂ふ想いに月を仰ぎ見る 生まれてきて数年 物心付いた頃 空を見た 恋することも知らぬ僕は恋をした 丸い月に初恋を知った 生きて数十年 恋心は変わらない 後、数十年? 愛は変わらない 見上げる月は丸かった

詩「空と地」

上を見れば空 下を向けば地 私が上を仰げば大空がそこにあり 天は遠くその距離を知る由もない 私が下を向けばそこにはコンクリートで固められた地 人が作った足の下の造り物 私は歩く、ただ歩く 歩く先に目的地が無ければ地は果てしなく続く 空も地も 私には途方もなく大きくて涙が出る

死「私の心の死」

心は死んだ 私の心は死んだ 私の心は死んでいたんだと気付いた 私の魂はあるだろう 私の体もある けれども心は死んでいる そんなことに今更ながら気が付いた だから 自分の体に気持ちが行ってしまう 自分の体の一挙手一投足が…… 何だろう、今の私の支えだ 今の私の心の支えだ

詩「チョコレート」

甘くて苦いチョコレート ひと口食べれば魔法にかかる 甘い甘い出来事は、ほころびはじめた花の蕾を咲かせるように思い出し、知らず知らずに笑みを零す 辛いや苦しい出来事は、苦さの後にほんのり甘さが手をかして、涙と共に少し和らぎ思い出す 甘くて苦いチョコレートにありがとう

詩「諸手を挙げて」

「参った」 俺は大袈裟なくらい首を横に振り、諸手を挙げて降参する 君の大きな瞳は無垢に俺を見上げる 「降参だ」 またしても声に出る情けない俺 君の口元は今にも勝利ににやりとしそうだ 両手を挙げたまま俺は蟹のように移動する その間も君の視線が痛い 君は尻尾を一振り ニャー

詩「時計」

「ねえ、ちょっと君? 手加減してよ」 刻々と過ぎて行く時間 「ねえ、君。聞いてる?」 そんなことを言っても置き時計は返事をするはずもなく ただ、ただ、時を刻むのだ お気に入りの置き時計 悩んで悩んで家に迎えた 「ねえ、君。アナログな姿が素敵だよ」 少し時が緩やかになった気がした

詩「創造主(俺)」

創造主たちよ! 万物を知れ 森羅万象を掴め 己の世界を創り出せ 俺は意識を集中する ダレる 俺は強く握る拳と共に心の声を張り上げる「よし!」 だれる 「俺は創造主なんだっ!」 垂れる もうどうにでもしてくれと大の字になる 上は部屋の天井 それでも想像することは止められず

詩「万年筆」

ペンが紙の上を踊るのが好きだ 書く時のステップする音が好きだ 罫線すらない無地の紙 まだ何も書かれていない紙を前に少し緊張する ペンを持つ手も力が入り無駄に紙の質についてなど考える いざ、ペンを紙に乗せる その途端、集中力が湧き上がり 見る間に紙の上は私の思考の地図となった