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一四零の庭苑 2巻 連載中

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。二巻目となります。一巻も別マガジンで全1000話で公開中。 更新は、X(旧Twitter)にポスト後、こちら…
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2024年4月の記事一覧

詩「空を飛ぶ夢」

眠れない 眠れない いつの間にか寝る 寝ていた   空を飛ぶ 何も無い空を飛ぶ 遠くにでっかい雲が見える ダイブしたいと思う スピードを上げろ もっともっと加速しろ   「ふかふかの雲にダイブだ!」   そう思ったらベッドから落下して目覚める 「空を飛ぶ夢なんか、見るもんじゃない」

詩「静寂」

夜の静寂は褒美 空には月明かり 星の演出は極上 少し冷たい風が頬を撫で 手持ちのグラスの氷がカランと一回鳴る 誰に向けての乾杯なのか 気が付くとグラスを掲げて 唇だけが『乾杯』と形作り 暫し 満足げにグラスの酒を飲む   静寂に酔う 少し灯りを足そう 気に入りの本を開く 捲る音   静寂

詩「月になりたい」

月になりたい あの空に在る月になりたい   月になりたい 「美しい」 あの空で輝く月になりたい   月になれない あの空の月に手は届かない   月になれない 「輝けない」 あの空の月のような輝きはない   地べたを這う 美しくもなく 才もなく それが私   月は天にある 私は天を仰ぎ月を見て

詩「鳥たちの向こう側」

大空を羽ばたく鳥たち 憧れる 恋い焦がれる   僕には何故翼がないのか この地を飛び立つ翼がないのか   「嗚呼、天使ならいいのに」   翼について考えても 僕の背中には翼は生えない   鳥たちの向こう側 人が知らぬ彼らの領域 せめて僕の魂も飛べないだろうか 鳥たちと共に未領域へ

詩「金平糖」

お気に入りの金平糖 硝子の瓶に入れた 瓶を陽に透かす 金平糖が陽の光を吸い込んだ 柔らかな光の金平糖 「魔法かな」 唇が作る微笑み   金平糖を一つ口に運ぶ 舌に乗りやがて口の中が甘く 「甘い」 「幸せ」   もう一度 金平糖を陽に透かす 「今日は恋の味」 甘くて切なくて キラキラ 金平糖

詩「空白」

時折、襲われる感覚   空白   何だろう 日が昇り沈む 忙しい毎日が続く そんな中でもあるんだ 否、来るという感覚かもしれない   空白   心の問題か 何が足りない 淋しいのか 分からない 答えが出ない 否、答えから目を逸らしている? 掴めない自分の心 それでも今日もまた   『空白』あるんだ

詩「埋もれる」

埋もれる 部屋の中 物、物、物 物に埋もれる   頭の中 考える、考える 思考の海に呑まれる   心の中 溺れる 思う、思う ネガティブ ポジティブ 止まる、落ちる、急落下 上がる、頑張る、息が切れる   『もう駄目だ』   これは考えか これは感情か 物か…   物にしろ、自分の中にしろ 埋もれる

詩「閃き」

突然やって来る 天から放たれた光の矢に当たる感じ 何をしていてもお構いなし 「あっ」と漏れる声 手が止まる 目を見開く 一連の動作を終えて一目散 ニヤける   ひたすら書き出す 書く書く 終わって息をする 「あっ」馬鹿馬鹿しくなる 脱力   再び自分から絞り出した、ものに注目 ニヤり   閃き

詩「一枚の絵」

目の前にある絵 視線を逸らすことが出来ず 体ごと釘付けにされて 身動きが取れず 辛うじて息をしているのが分かる 頭の中で『いつまでこの状態なんだ』と問う 『分からない』 『知らない』 情けない即答をした   目が乾き瞬き 繰り返す 時間が告げ やっと息を吸う   虜になった 一枚の絵

詩「憧れの裏側」

夢見る頃 夢とは華やかなもので 目が眩む 世界はやがて鼓動と共に色付いて 自分までもが輝いている様な錯覚 夢に飲まれ憧れを生み 憧れに酔い焦がれ 焦がれる頃に現実を見た   どろどろ 闇闇 歪 感情と思考が渦を巻く 裏側 自分の求めた先の裏側を見た しかめた顔を向けた所は言えない

詩「鳥の歌声」

空を見上げて 日の光に春を感じた そのまま空を見上げる 何処からか鳥の素敵な歌声が聞こえて来る 期待に視線を動かすが鳥は見つからない 歌声から小鳥だと推測する 辺りを見回すが住宅街だと思い出す 『歌声は幻?』 否、確かに聞こえる 姿なき鳥の美しい声 歌に耳を澄まし 笑み浮かび

詩「君に言えなくて」

「ねえ、どうして俯いているの?」 僕は君に問うんだ 君は不機嫌な視線を僕に送る 僕は申し訳なさと戸惑いの視線を送り返す それでも僕は君に伝えたくて 「ねえ、顔を上げて」 ふいと君は横を向く 僕は君の機嫌を損ねたみたい 「(好きだよ)」僕は心の中で言った 君は頬を染めた

詩「救い」

本の中にあった 画面の中にあった 「ああ」それ以上声にならない 泣く 咽び泣く なり振りなんて構わない 『救われた』その言葉が頭の中に鮮明に浮かぶ 只、洗われていく 暫くして気付くあれやこれや 少し恥ずかしさを感じて 「うん」と小さく言う 口元が笑みを作ろうとする   「ありがとう」

詩「あの星」

「綺麗」という 夜空のあの星を見上げて 輝きにうっとりとする 『嫉妬心』が湧く あの星の輝きを妬んだってお門違い 私じゃお話しにならない 「綺麗ね」という あの星は輝く 私が見上げるほど輝いて見える 「私は石ころ」という あの星から目を逸らせばいいのに 出来ずに見上げる   あの星