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一四零の庭苑 2巻 連載中

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。二巻目となります。一巻も別マガジンで全1000話で公開中。 更新は、X(旧Twitter)にポスト後、こちら…
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記事一覧

詩「絶望の威力」

絶望に打ち抜かれて 動くことを止めた   停止   体はまるで石だ 間抜けな姿で石膏像となった 頭の中は空っぽで 胸には風穴 最早、人間ではない   絶望の威力   抗えと野次が飛び 諦めろと笑われる 見せ掛けの心配 好奇心の探り   絶望にまんまとしてやられた   「あ、あーー」精一杯の僕の声

詩「モノクロ」

瞬きをした 世界はモノクロとなり 僕がしたこと 目を閉じて開けた   世界は色を失った 否、無限の黒色と白色が住まう世界となった   どんな色 悲しい色 切ない色 懐かしい色 新しい色 新鮮な色 挑発する色 斬新な 想像と感性が戦う 織り成す 共鳴する 正常と矛盾が混沌する世界   モノクロ

詩「擦り切れる」

自分の手を見た じっと見た 飽きもせず眺めた 言葉の代わりに涙ぐむ 泣けばいいのに、雫は落ちない 「フフ」と声が出て 「あははは」と笑い出した もっと笑え そろそろ泣け 涙の雫に救われるはずだ   ああ、僕の心が擦り切れたのか いつのまにか笑いも止まり 泣けずにいる   擦り切れる

詩「無欲」

「ああ」と立ち尽くし声が出た 自分でも思わぬことだった 自動的に珈琲を入れる いつもの定位置に座る   何もかも諦めたのか 投げ出した 逃げた 終わった 手が届かないのか   「あ~」声が出る 空間を見詰める 珈琲を口に運ぶ   何かが尽きたように感じ 枯れたように思え 『無欲』のせいとした

詩「軸」

軸がぶれる 腹立たしいと動きを止める 『何故だ』と連呼して 苛立ちを募らせる 血が上った頭では 『分からない』と言い出した 天から孤独が降って来た気分 硬直 動きという発想が無くなった 自分の残像を残し場を退く   軸は生きて行く為に必要だ 概念が僕を縛る 軸とは足枷 違うだろ! 僕は…

詩「暑すぎる夏」

うだる暑さ 灼熱地獄   炎暑 酷暑 極暑 激暑 厳暑   暑いと言いたくない 余計に暑い 蕩ける 溶ける 燃えて灰になるぞ   「太陽さんよ~」ぼやく 実は双子だった、とか 「そうだ」閃く 時間を教えてくれ そう、あんたの営業時間さ 何、言ってんだ 自分でも分からない 兎に角…   暑すぎる夏 ※読んでくださりありがとうございました。 暑くなる詩のあとに涼んでください。

詩「道のり」

道の途中 時々立ち止まり考える 座り込むことだってある   長いな 早い 迷いそうだ これは無駄な道だ いつも同じことを言う   足が重い もう進めない 嫌だな 辛い 苦しいよ 泣き出した道の途中 暫くして泣けるならまだいいと、心が落ち着く   人生の道のり   「はぁ」と溜息ひとつ 見上げる天

詩「誰」

鏡を見て微笑んだ 鏡に映ったその顔が他人に見えた 思わず鏡に右手を付いた   「誰」   問うが答えは聞ける訳もなく 手を鏡から放す 鏡の中では少し引き攣った顔が写る 鏡の自分を睨む 自分が分からなくなる   「誰」   再度問う 鏡の中の顔がにやりと笑った   「ああ、これは駄目なやつだ」 『誰』

詩「計り」

僕は計りを手に入れた   手に物を持てば重さが分かる これは便利だと笑い出す 僕は体内に計りを手に入れた   僕は最強さ、頭の中に計りを持っているから 直ぐ様、判断が出来るのさ 僕は頭の中に計りを手に入れた   落ち込む 際限がない 僕は最強じゃない 僕は心にも計りを手に入れていた   計り

詩「自分に嘘を吐いた」

自分に嘘を吐いた 考えて考えて その思考のほんの隙間 嘘を吐いた 誤魔化した ハッとした けれども楽になった気がした けれども考えることが止められない 『何のために』自答自問 答えなど出なかった   自身の真実が遠のいた 楽になるはずが泥沼 思考が泥沼に落ちて行く   嘘吐き

詩「パズル」

僕たちはいつもパズルをしている 生きることがパズルで 日々を送ることは積み重ね 日が一つひとつパズルになる ピースかもしれない 後々にそのピースが何か分かり 完成する人生   時間もパズルで 僕自身も全てパズルだ 積み重なる 出来上がる 突然、思わぬピースが誕生する 面白い   パズル

詩「不運の連鎖」

『魔が差した』この言葉が適切だと思わないが 魔に憑かれたように連続する   選択 何気ない 気分で 適当 選んだつもり 考えたはず   いつからだ 恐々と過去を振り返る 立ち止まったつもりが動けない   気配 空気 言葉   『ああ』と声が漏れる頃 引っ掛かる 歪み 温度 匂い 黒   不運の連鎖

詩「眠気」

頭の中は空白で ただぼんやりとして うとうとと来る そんな眠気は最高で   眠りたい眠れない 時間が足りない忙しい そんな時の眠気は厄介者で   焦る気持ちと合わさって眠れない 眠気があるから布団に入ると目が冴える 思わせ振りで偽りの眠気 体と頭がちぐはぐな眠気 そんな眠気は罪だ   眠気

詩「ペン一本」

ペンを手に持ち構える まだ紙の上には乗らない 気持ちが乗らない 気配が来ない   トントントン   指で机を軽く叩く 時計が気になる   まだだ…   音が聞こえる 空気が触る   予兆   時が緩やかになった 時が止まる 静寂 視界が冴える 何も聞こえない   紙の音 ペンの音 世界を書く   ペン一本