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「知っておきたいあの話vol.9」を終えて〜イギリス文学の扉を開けて―シェイクスピアからカズオ・イシグロまで〜

隣のアノ人ってどんな仕事をしているの?という素朴な疑問から始まったこの企画。今回で無事9回目の開催も終えることができました。

毎回、お申込みを頂けて本当に嬉しいです。参加して下さって本当にありがたかったです。

<登壇者のご紹介>
浦野郁さんは、共立女子大学文芸学部で准教授としてイギリス文学・文化を教えている研究者です。

今回のイベント概要は以下のイベントサイトに詳しくありますので、ご覧になって貰えると嬉しいです!

前書き

今回の第9回目が始まる前に、ロシアがウクライナに侵攻しました。多くの方が犠牲になっているのを目の当たりにして、本当に人間は過去の2度の世界大戦から何かを学んだのかと思ってしましました。
私の大好きなマンガ「マスターキートン」にある好きな場面があります。主人公太一のイギリスでの恩師ユーリ先生が第二次大戦中にドイツ軍のロンドン大空襲のロンドンで、「敵は我々の気持ちを挫くことが目的だ。我々は学び続けよう」と瓦礫の中で教鞭をとるシーンです。私は今は戦火から遠い日本にいますが、こうして新しいことを学べることに感謝しています。

今回の私の学び

イギリス文学というと敷居が高い感じがあるが、歴史的文化的背景と共に説明をされるととても分かり易く、腑に落ちました。現代の文学部では、そうした背景を読みとき、現代での課題解決などのヒントを文学に求めるという姿勢がとてもいいなと感じました。


黒坂のイベントメモ

ここからは私のためのメモになりますので、ご興味があればご覧ください。

今回のお話のアジェンダはこんな感じです。

イギリス文学は作品の質量ともに世界屈指で、私たちは知らないうちにその文化的影響力に触れています。

これは目から鱗で、知っている作品の多くがイギリスから生まれているのを知っただけでも、歴史の長さや文化の深みを感じることができました。

そして「基本のキ」愛好家の私としては、この部分が本当に面白く、イギリス文学の3大ジャンル「詩→演劇→小説」と発展してきた歴史的・文化的背景が見えたのが本当に嬉しかった。

は、識字率が低い古代(8世紀)には、韻を踏みながらの口で伝えるために便利だった詩が重宝されていた。

演劇は、中世(~15世紀くらい)の聖書の教えを伝える聖史劇や道徳劇に始まり、17世紀にシェイクスピアなど劇作家が活躍し、大英帝国時代とも重なり国力も大いに高まり、文化的にもイギリス・ルネサンスと言われていた。

小説は、18世紀以降近代的な市民生活成立にともない、ジャーナリズム(新聞とか)が誕生し、面白い物語が読みたいという欲求とともに自然発生的にうまれた。

15世紀ごろの活版印刷の登場などイノベーションなどの色々なレイヤーが折り重なって文学が成り立ち、その文学もまた一つのレイヤーとしての役割を果たしているのが分かり、そのダイナミックな流れを感じることができました。そして、そこに人それぞれの創造性が加味され、それぞれの時代の文学作品にはその時代の空気感が色濃く乗っかっているの知りました。

私は数年前に読んだ「モンテクリスト伯」以来、小説を読んでいません。没入し過ぎて怖くなり、それ以来小説以外を読んでいます。

でも今回の話を聞いて、小説また読もうかなって思っています。

そうそう、今回イギリス文学のトリビアやカズオ・イシグロの話もしてくれました。

私が一番印象的だったのが、イシグロが小説を書き始めた理由が「記憶の中の日本を留めるため」というところでした。何となくわかるんですよね、その想い。私も子供たちのために今思っていることをどこかに書いておきたいなって気持ちがあるんです。遺書じゃないけど、自分がどんどん変わりゆくなかで失ってしまうのではないかと思うものは今この瞬間に書いておかなくてはいけないのではと思うんですよね。。。。

今回話して頂いた内容は、やはりここでしか聞けないなと実感できまし、この回を開催できて本当に良かった!

講演中の質問内容(抜粋)

  • ジャーナリズムが小説の起源だとすると、当初はやはりフィクションよりもノンフィクションが主流だったのでしょうか?

  • 識字率と文学の発展はリンクしているのでしょうか?

  • イギリス人はシェイクスピアの作品を理解できているのでしょうか?

  • 小説が生れた当時はどのようなジャンルの小説だったのでしょうか?

  • 文学部で学ぶ学生はどのような視点で学ぶのでしょうか?

参加者の方へのアンケートでのご回答内容(抜粋)

  • 昔イギリス留学してたのに文学に触れてなかったので、すごくいいきっかけをいただきました。学生だけではなく、大人も文学を通して現実に対峙することで見え方が違ってきますよね。

  • 浦野さんがイギリス文学を研究されるきっかけとなった作品や作者などの話も聞きたかったです(時間切れで残念!)

  • 映像作品から入ったり、作品の背景を考えながら本を読んだりすれば、これまでよりも読み進めることができるような気がしましたので、今後、ぜひともチャレンジしていきたいと思います。

  • 面白かった。パート2を期待します

  • 文学作品に映画以外で触れることがなかったので手にとってみようと思いました。

発表スライドのリンク

https://www.slideshare.net/MunehisaKurosaka/vol9-251247420

発表時の録画へのアクセス

動画をご視聴されたい方は、以下の視聴申込フォームよりお願い致します。


浦野さん、ご登壇ありがとうございました!

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