スカイとマルコ(13)・やってやるわよ
あたしは不思議な気持ちになった。ケイタ君みたいに、太陽の暖かさであたしを包んでくれるわけじゃないけど、なんていうか、愛情の押し売りもない代わりにプレッシャーも感じない。
「ここでは熊子って呼ばれてるんだってね。性格も熊みたいに凶暴な時もあるらしいね。」
月子さんは、あたしの目をじっと見ながら、面白いのか、少し口の端を上げて話した。
「あ、確かに暴れん坊の時もあるんですが、でも、凶暴ってほどでは。。。実際、牙を剥いて威嚇するのはあっても、一度も噛んだことはないですから。最初は人間が怖かったんだと思いますし、今は、そうですね、気難しいっていうか、嫌なことはされたくない時に、威嚇する時もありますけど、でも、僕には、いや、私にはそんなことは一度もありません。」
「ということは、この子は人を選んで凶暴なフリをしていると?」
鋭い指摘にケイタ君はグッと詰まった。
「やっぱり、相当、性格が悪いですね。気に入りました。ぜひ、お試しの散歩をさせて下さい。」
月子さんは全く怯むことなく、ケイタ君に依頼した。
あたしは、どうしてやろう?とほくそ笑んだ。
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