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スカイとマルコ(23)・そばにいるよ

「え、公園で見つけた?あの、、、ご自身の犬ではないんですよね?」
受付の人が、戸惑うように聞いてきた。

月子さんは、チラッとあたしを見て、意を決したようにリーシュをギュッと握り締め、返事をした。

「はい。私の飼い犬ではないですが、この子の友達なんです。だから、支払いは私が責任を持ってしますので、だから、お願いします。助けて下さい。」

下界は、お金がないとご飯も食べれないし、病院もいけない世界だ。
そのお金を作るため、月子さんは、仕事ってことをしている。
月子さんは、貧乏ってわけじゃないけど、お金持ちではないのも、一緒に暮らしていたら分かる。

月子さんが、担当の獣医さんに呼ばれ、診察室に入って行った。もちろん、あたしも一緒。そこには、少し綺麗になっていたマルコが銀色の台に乗せられ、ぐったりと横になっていた。

「相当、汚れていたので、診察できる程度に洗いました。そうですね、レントゲンを撮った結果、何ヶ所か骨折や脱臼が見つかりました。高いところから落ちたのか、自転車にでもはねられたのか・・。胃の中は空っぽで、何日も食べていないようですね。相当、衰弱が激しいので、今、点滴を入れて、体力を回復させてます。数日間は入院し、体力次第で、今後の治療を相談という流れでいかがでしょう?」

月子さんが獣医さんと話をしている間、あたしは、後ろ足で立って、マルコの乗せられた銀色の台を覗き込もうとした。

「おっと、ダメだよ。今、この子は点滴を入れているからね。そっとしておいてあげてね。」

獣医さんに邪魔されて、あたしはムッとしたけど、マルコが助かるならと諦めて、台の下で丸まった。マルコが元気になるまで、ずっとここから動かない。そう決めた。


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