ランナーの話:「富士子さん」中編
富士子さんのトレイル挑戦は、最初から順調だったわけではない。
黒リスも今なら分かるが、ある程度の年齢になると、トレイルはキツい。なぜなら、目がお年を取り、足元が見え難くなり、段差が分かりづらくなり、感覚神経から運動神経への伝達が鈍く、転びやすくなる。反射神経が鈍くなるのだ。ゆっくりトレッキングなら問題ないが、トレイルレースとなると、ある程度のスピードで進まないと関門に引っかかって、そこでアウト(棄権)である。
だが、富士子さんはボストンマラソン出場資格を持つレベルのランナ