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エッセイ:ぜんぶ

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愛犬の話、ニューヨークの話、ランニングの話などなど、その時々の気になったことをつらづらと書いています。
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2022年3月の記事一覧

私と保護犬くるみの物語:わたし㉖”犬も赤ん坊も泣く(鳴く)のが仕事”

くるみが生まれて9ヶ月、うちの子になって7ヶ月が過ぎた。 あんな言う事聞かずのガウガウ仔犬が、今ではかなりのお利口ちゃん。食い意地レベルがすごいのは変わらずだし、その延長上にある拾い食いも、まだまだ目を光らせてないといけないレベル。だけど、ほとんどのコマンドを理解し、出来るようになっているから、ママちゃんは、日々、「Good girl!」を連発している。 だけど、ひと月ほど前から、アパートの廊下を誰かが通ったり、ドアの開け閉めの音がしたりすると吠える様になった。それ以前は

「戦争反対!」なんて言いたくなかった。

「戦争反対!」と叫ぶ自身に驚いた。 ロシアのウクライナ侵攻が始まり、NYのウクライナランニングクラブ主催のサポートイベントに参加した時の話だ。頼んでもいないのに、人の家にズカズカ踏み込んできて、「お前達を救いに来た。」と銃口向けられて、誰が喜ぶというのか。だから、「出て行ってっ!」と抵抗しているウクライナ側の行動は、当たり前だと思うし、同情も感じる。だから、「戦争反対!」と私も一緒に叫んだのだ。 だが、ふと、その言葉を口にする自分を客観視すると、既視感を覚えるというか、な

ペットの老後と終活を考える(5)

私は、”安楽死”を選択できるタイプだと思っていた。 アメリカでは、ペットの安楽死に対し、日本より肯定的だ。それは、自分のペットへの愛が日本人より深くないからというわけではなく、日本人とアメリカ人との生死感の違いとでも言おうか。 日本人は、肉親に対し、”胃瘻(いろう)”をしてでも、生かし続けようとする傾向があったり、また、自分も誰かの世話になっても長生きしたいタイプが結構な割合でいると思うが(最近は変わってきているのかもしれないが)、アメリカ人は、自分がその状態で生きるのは

ペットの老後と終活を考える(4)

全ての生物は寿命がある。 つまり、いつかは死ぬという変えられない真実だ。だけど、それを告げられると、慌てふためき、何とかそれを止めようとするのも自然なこと。そして、止める手立てがあるよ、と、その専門家に言われたら・・・。 (2)で書いた通り、私はミルキーの肺がんに対し、出来る限りの治療を選択した。高度医療病院の獣医さんから、「こんな治療方法があります。幸運なことに、出来る治療があるんですよ。」と言われて、「いや、結構です。」と断れる飼い主はどれぐらいいるだろう? その「

ペットの老後と終活を考える(3)

アメリカは医療費が高いと言われているが、ペットの医療費も負けてない。因みに、土地価格に比例してるケースが多いので、ニューヨーク、マンハッタン内の動物病院は特に高い。オフィスビジットという、病院でドクターに診てもらう行為だけで、安いところでも、5千円ぐらい。普通に1万円ぐらいチャージする病院も多い。もちろん、なんらかの検査(血液検査など)や治療費は別で、どんどん加算される。一回、病院に行くだけで、1万5千円ぐらいあっという間にかかる。 そんなペット医療状況から、私は、最初に仔

ペットの老後と終活を考える(2)

人間もペットも長生きになった。 長生きって良いことだと当たり前に思っていたけど、今、日本は、高齢化社会問題で大変。そして、多くの人が、”死なないのが普通”と錯覚しているみたいにも思える。そういえば、最近、90代の寝たきりの母親を亡くしたことに腹を立てた60代の息子が、世話になったドクターを猟銃で撃ち殺すなんて事件もあったなぁ。 医療の発達の恩恵を受けることが必ずしも良い方向に進むわけではないのかもしれないね。 昔は、赤ちゃんがちょっとしたことで死んでしまうことも多かった

ペットの老後と終活を考える(1)

最近、動物関係の友人から、「黒リス(私)さんは今まで2匹の犬を看取った経験があるけど、晩年期で後悔したことがあれば教えて下さい。」と聞かれたり、丁度、同じ頃、友人の愛犬が旅立ったりもあり、改めて、ペットの晩年と死について考える機会となった。 ペットロスという言葉は、日本では2000年代に入ってかららしいが、確かに、私が日本に住んでいた1994年ぐらいまで、聞いたことのない言葉だった。しかし、アメリカでは1990年代頃から、精神疾患の契機として重要視され始めたらしい。日本はア